第三の時効/横山秀夫

超スリリング!めっちゃくちゃ面白い警察小説です。横山さんはやっぱり凄いなあ、おじさんなのにキャラの書分けが完璧ですよ。

F県警捜査第一課。一班の朽木。二班の楠見。三班の村瀬。一筋縄ではいかない強行犯の刑事たちが、覇権を激しく競い合い、難事件に挑む! 非常で独断的な男たちの感動的なドラマを描く本格警察小説。

表題作含め6編の短篇で、捜一課の活躍を様々な人の視点から描いています。個々の内面の葛藤もあるなか班同士で競い合い、それでも最後は犯人逮捕のため・殺された被害者のため、(かなり曲がった形で)助け合う彼らの活躍に胸がすく思いです。もう、各班の人々覚えちゃうくらい。キレる一班の班長・朽木、その右腕・田中、人情派(?)・森、唯一明るい若手・矢代。冷血な二班の班長・楠見、不気味な班長の下で可哀相な宮嶋・植草・阿久津。動物的カンの三班班長・村瀬、その両腕の東出と石上。凄いなあ、こんなけ描ききるんだよ。しかもみんなかっこいいよ。一番好きなのは「囚人のジレンマ」かな。こんなけ強烈な面子を束ねなきゃならない田畑課長がたいへんそう…というのはどうでもいいんですが、第三者の立場から3つの班の特色を読めたのが楽しかった。「ペルソナの微笑」もオチはイマイチだったけど、前半の軽妙な感じが一風違っていて面白かった。あと、全編通して朽木班長の推理の鋭さと粋な計らいに惚れる。全部読んでから一番初めの「沈黙のアリバイ」を読むといっそう朽木班長に痺れます。心に傷を負い笑うことのない朽木タンはこれからどうなっちゃうんだろうか……はっ!思わず腐女子萌えで心配してしまった!こんな硬派な作品なのに。土下座。ぐぐっても見つけらんなかったけど、でも絶対、村瀬×朽木とか矢代×朽木とか妄想したお仲間はいたはずだー(まだ言うか)。/★★★★☆