ハンブルボーイ@東京グローブ座

将来を嘱望されていた優秀な宇宙物理学者フェリックス・ハンブル(井ノ原快彦)。最近は研究が行き詰まり、さらには神経症の持病により自殺まで考えてしまう日々を送っていた。父の訃報を聞き、実家に戻ると母フローラ(夏木マリ)の変わり様に驚く。
フェリックスの子を身ごもった元恋人ロージー大路恵美)、ロージーの父ジョージ(大谷亮介)、隣人のマーシー(三鴨絵里子)、ミステリアスな庭師のジムが絡み合い、ブラックジョークの応酬で悲惨なほどにお互いを傷つけ合ってしまう息子と母。しかし死後不思議な形で影響を与える父の存在が、二人をあたたかく包みこむ。「人生の真実」を問う、悲しくも心温まる感動の物語。

凄く観やすかった。すれ違ってばかりの母と子の罵り合いにはせつなくなり、マーシージョージという笑い所もあり、小さな田舎町での人々の葛藤はラストに向かってちゃんと収束してったと思います。夏木マリさんすてきだったなあ、「若い頃は売れっ子のバニーガールだったこともある派手好みの美人。地味な生物学者との夫との田舎での生活に疲れ、常に何か別の人生を求めているが満たされない毎日を送っている」という役柄を嫌味なく演じておられた。誰よりも田舎のことを馬鹿にしてる、だけど夫のことは本当は愛してる、父と母の昔の恋話にはほんわかなりましたよ。あと、父の遺骨の扱い方でいちばん笑えました。父親が死んだあとの話しなのに、全編にずっと父の存在を感じさせてくれて、最後にああそういうことかー!と。気付かなかった自分を呪う。三人で会話していたシーンがあったのに、もっと注意して聞いてれば良かった。父と母の別れのシーンではじんわり涙。
イノッチのフェリックスは、可愛かったんだけど、話的に「えっそれでいいの?」という情けなさ過ぎる感が残った。だって、子どものことは……?母親がしっかり描かれていたのに対し、フェリックスの成長はイマイチ消化不良。それに比べて大路恵美ちゃん演じるロージーの勇ましいこと。すっかり美人さんできれーいなの、ほわわんと見惚れる。演技もうまいし。
カーテンコールに出てきたいのっちは、劇中の2倍可愛かったですよ。えへへーって感じで照れながら両手でばいばいしてました。