パッチギ!

1968年、京都。松山康介(塩谷瞬)は府立東高校の2年生。ある日担任の布川先生(光石研)から親友の紀男(小出恵介)と一緒に、敵対する朝鮮高校との親善サッカーの試合を申し込みに行くように言われる。二人は恐る恐る朝高に行くが、康介は音楽室でフルートを吹くキョンジャ(沢尻エリカ)に一目で心を奪われてしまう。しかしすぐに彼女は朝高の番長アンソン(高岡蒼佑)の妹だという事が分かる。
康介は楽器店で坂崎(オダギリジョー)と知り合い、キョンジャが吹いていたのは「イムジン河」という曲だという事を教えてもらう。康介は国籍の違いに戸惑いながらもキョンジャと仲良くしたくて、「イムジン河」をギターで弾こうと決心する。

朝鮮学校の番長の妹に恋をしてしまった冴えないフォーク青年のお話。井筒監督の作品は初めて観たんだけど、喧嘩、音楽、国籍とノスタルジックな青春映画という印象。在日朝鮮人を題材にしたものって色々考えちゃって、私にはまだ受け止めきれない部分はあるけど悪い映画じゃなかった。こむずかしいことは何にもわかんない主人公(塩谷瞬)がごくごく個人的な友人付合いやら恋情やらでそれを乗り越えていく様は誇張でも何でもなくって良かったと思う。朝鮮組と友達になってからの韓国語のネタでは物凄くウケたし。ああやって仲良くなって、友達になって、結局は個人個人で消化していくことが大きな解決への小さな一歩なのかもと思えた。
朝鮮学校側の三人の俳優さん(特にアンソン役の高岡蒼佑)は見事にかっこよくって屈折しててあばれんぼうで目を惹きつけられた。何あの飛び蹴り!かっこええ!喧嘩だらけで辟易する人も居ると思うけど、学校帰りに塾に行くのと同じくらい、単にああいう日常な人だっているのだ。タイトルの「パッチギ」は、アンソンの得意技「頭突き」の意味だけど、フォーク青年の側から映画を観るとまったくそういう感じじゃないので、ダブル主人公と思った方がいいんだろうか。
あ、オダギリジョーも出てますよっ、妙ちくりんな役なのにオイシイってどーゆうこと……