ブルータワー

ブルータワー

末期の脳腫瘍に犯され、死を待つばかりだった瀬野周二。あるとき脳腫瘍が起こす激しい痛みによって、精神だけが200年後の未来へ飛ばされ、そこに生きる三十年委員セノ・シューという男と入れ替わってしまう。そこで彼を待っていたものは、世界を滅ぼした改良型インフルエンザウィルス黄魔と、それに怯えて暮らす人間の存在だった。戦争の兵器として使われたウィルスのワクチン開発もできぬまま、人々は黄魔の魔の手を逃れるため、高さ2キロの塔を7つ建て逃げ込んだが、限られた空間の中で身分と貧富の差は激しく、地上に残された人々と塔の住人とで争い合うという最悪な事態となっていた。迷信にある「青の塔の嘘つき王子」として期待をかけられた周二は、未来型AIココや、第五層の住人離遺南(リーナ)、ボディガードの蒼苦(ソーク)らとこの未来の世界を救おうと奮闘する。そうするうち、余命少ない現在よりもその世界で「生きる充実感」を得るようになっていく。果たして周二は未来を救えるのか。(一部bk1より引用)

★★★★☆ 読みやすく面白かった!私はファンタジーがちょと苦手なんですけどこれくらいのテイストだったら全然読める。たぶん、舞台が未来の日本で登場人物の名前も漢字だったのが入り込めた要因かも。その未来の設定も、主人公の真っ当なキャラも、石田衣良の設定勝ち。今までのSF異世界モノのセオリーもわりと踏襲している。救い方は地味だけど、それがまた良かった。911から派生した思いでここまで書ける作家の力を見た気がする。