東京豪華(デラックス)「ビー玉 〜あの夏の日〜」@シアターVアカサカ

ストーリーのちゃんとあるお芝居と、ダンスと、歌の融合が見事な劇団です。
それに、演者さんはみんな若くて一見チャラチャラした今どきの子たちばっかりに見えるんだけど、お芝居が始まると本当にみんな一生懸命で、お客さんが少なくても一切手を抜かず素晴らしいのです。踊りまくったあとの終盤での戦闘シーンも、全員ぴっちり指先足の先まで伸びて表現していて、あーすてき、と感嘆してしまった。
お話自体は。出だしはもう、使い古されたモチーフ過ぎてアララーと思ったけど、玩具たちが動き始めるとこらへんから面白くなってきた。小さい頃に夢中になって遊んだ玩具と人間との関係、交流が温かに描かれていて、それがダンスを交えうまく表現されていてほんと楽しい。
あと前回もそうだったんだけど、演技中はどらえもんみたいな(失礼)女の子が歌い出すといきなりミーシャになってびびる。歌の力って凄い、あれだけでも聞く価値あるもんなあ。

あらすじ

勉とりんたろうとののこは幼なじみ。幼い頃、子どもたちの玩具を奪う恐怖の大王から守るためそれぞれの宝物をタイムカプセルに隠して埋めた。勉はお気に入りのビー玉を、りんたろうは手作りの兵隊を、ののこはお気に入りのバービーを。20年後、必ず集まって開けようと約束して。
しかし大人になったりんたろうとののこはカプセルのことを忘れ、幼い頃とは変わってしまっていた。
一方、2050年未来の世界から時空を越えて、南原と博士が過去にやってくる。狙いは、タイムカプセルの中のプレミアのついたバービー人形だった。
魔法で動き喋るようになった玩具たちと、昔のように遊び始めた3人だったが………。

玩具と持ち主の会話の部分が一番好きだった。あんなふうに、●●は家ではこうだったんだよ、ほんとはこんなふうに思ってたんだよ、とか全部わかってくれてる存在がいるっていうのはきゅんとくる。私たちが大事にしているもの、っていうのは生きてく中で数限りなくいっっぱいあって、それは移り変わっていくのが普通で、だけどそのいっこいっこに私は力を貰ってここまできてる。忘れながら。
前作ではとにかくダンスの勢いと歌のすてきさで圧倒されたけど、今回は登場人物のそれぞれの独白も真摯に響いてきてうまくなってたかもー。

現代人(勉たち)と未来人(なんばら)の対比というのは、面白かったけど少し弱かった気もする。自分の欲しいもののために人を傷つけるのも、仲間を守るために闘うのも、結局は人間の同じ本能ってことで、それぞれ大事に思うものが違うんだから争いが起こるのは道理なんだろうなあ、悲しい。
そこを突き抜けて、「それでいいんです!」っていうロボットの立場から言いきるだけの根拠がもう少し見たかったかも。だから、現代人と玩具の交流と、未来人の更生の話しはまた別物なんだろうなあって。南原の演技のうまさに多少誤魔化されたけど、どこがどうなってお辞儀になったのかわかりにくい。
ラスト、3人が玩具との再会によって心を新たにして未来を変えたんだ、っていうエンディングは後味もよくほっとした。最後の歌もうつくしい。歌声が揃っててそれだけで感動。
なんだか最終的にはとっても楽しいあたたかい気持ちになれるお芝居でした。良かったー。また機会があったらいこうと思います。

もっとお客さん入ってもおかしくないと思うんだけど。13公演もやってるからバラけてるのかな?
とりあえず、
・チケットが高い
・場所(駅・路線)が不便
・ネット上にせめてチラシとあらすじはわかりやすくアップすべき(でないとオンラインで紹介しにくい)
・劇団同士横の繋がりをつくる(人脈)
あたりから改善してけばどうだろう。私が贔屓にしてるのに「エビス堂大交響楽団」という関西劇団がいるんだけど、そこはそれをすべてやってます。値段なんて2000円くらいで場所もHEPホールとかだよ。

もっとたくさんの人に見て貰いたい劇団です。あんなに楽しそうなんだもの!