チョコレートコスモス/恩田陸 ★★★☆

チョコレートコスモス

恩田陸版「ガラスの仮面」。昔からこういう演劇サクセスものとスポーツサクセスものが好きなんですよねえ私。北島マヤ的主人公・佐々木飛鳥が見せる演劇の才能やオーディションの突破の仕方がじっくり読めて面白い。ライバルたちとの対比もきっちりセオリーを踏襲している。漫画と同じ題材を、活字で描くとこういう表現になるのか、こういうことを言いたかったのか、と読み応えがあった。うまい。だけど最後、飛鳥には「自分・自我がない」という役者として致命的な欠点がある、って肝心の部分が解決されないまま終わってるのでちょっと尻切れ。まあ演劇ものは主人公が無名から才能ひとつでのし上がってく過程が一番面白いとは思うんですが。
演劇漫画でぱっと思いつくのは「ガラスの仮面」「もう一人のマリオネット」「Ｐ．Ａ」…少年漫画でこの分野の話ってないのだろうか…。