FLOWER・POLLINATION/木原音瀬

FLOWER (新装版) (ビーボーイノベルズ)

FLOWER (新装版) (ビーボーイノベルズ)

POLLINATION (新装版) (ビーボーイノベルズ)

POLLINATION (新装版) (ビーボーイノベルズ)

WEED(http://d.hatena.ne.jp/noraneko244/20080816#1218871330)からの連作。主人公を若宮のセックスフレンド・谷脇に移しての2冊。FLOWERは、×メガネの研修医・松本朗。最後の駅のシーンがすごかった。そこにくるまで自分の思いに自覚的になれないって、それはもうなんかの病気か障害じゃないかと。とにかくプライドが高くて人を人とも思わない男、能力のあることとゲイであることが谷脇のその性質をより強めたりしたんだったら悲しい。哀れな…と眉をひそめながら読んでしまった。木原さんの作品はいつもわりとそうなんだけど、読んでるあいだはいろんなことを考えたのに、うまく感想にできない。
そんな目に遭って少しは改心したのかと思ったら、次のPOLLINATIONでも相変わらずの非道な医者っぷり。しかも今度の相手は、×自閉症の未成年(出会ったときは15歳)・鈴木祐哉。こういう題材を、こういう切り口でBLで出すって、今のご時世木原さんにしかできないよね…。自閉症の祐哉目線でのお話しがあって、しかも不自然じゃなくて、すごいと思った。チャレンジャーだなあ。谷脇は、自分がどんなに酷くしても影響されないもの、変わらない愛が欲しかったんじゃないかな。だけどそんなのあるわけないって諦めてるフリで、自分から切り離してばっかだったから、本当はずっとあった朗のそれを零してしまったんだ。雑草→花→受粉、というタイトルの変遷の意味を考えるのも楽しかった。朗のことは、谷脇の人生で一回だけ咲いた花だったのかもしれない。
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