リベット/木原音瀬

リベット (Holly NOVELS)

リベット (Holly NOVELS)

確かに、重い。でも今まで読んだ木原作品の中で一番主人公に共感できた。初芝はいい子だし、がんばりやさんだし、取り乱して酷いこと言っても後悔してちゃんと謝る。乾に惚れられるわけがわかるなあと思った。特に書き下ろし?のリベット2で、他校に異動になって一人で頑張って、訪ねてきた乾にも虚勢を張って一人で目を赤くしてるところ。キュンときた……。病気って、ほんとうにこわいね。病気とその本人とは別物なのに、本人は何も悪くないのに、どんどんと同化していって変えてしまう。そして最後は一緒に生きるしかない。すごくちゃんとした本だった。それでいてBLのモエも私はちゃんと見つけられたし、読んでよかったよー。

  • 追記初芝が、自分をレイプしてHIVをうつした阿岸を憎んで会いに行く場面。「俺は陰性だった」って言ったのは、私は許したわけじゃなくて「おまえ一人で地獄へ落ちろ」「道連れにしたと思われてたまるか」という意思表示だと思ったんだけど。でもそのことが、間違ったやり方だったけど確かに初芝を好きだった阿岸にとって最後の救いになったという皮肉。
  • 人様の感想を読んでてカバー裏にオマケがあることを知った。あっぶねえ!見逃すとこだった! めくって読んで、ちょっと胸を撫で下ろしました。キャリアである辛さは変わりないけど、子どもができないかもしれないというハンデが男同士なら少しはマシなのかもしれないな。人間として好きと恋愛対象として好きの違いって何だろう、とちょっと考えさせられた。初芝が穏やかに過ごせますように。