シス・カンパニー「人形の家」 @Bunkamuraシアターコクーン


目の前1メートルもないとこで堤さんとりえちゃんが抱き合っていちゃこらと……!! 呼吸止まるかと。
思ったよりぐっちゃぐちゃのどろどろじゃなかったのは、堤さんとりえちゃんの上品さのおかげなのかな。もっと髪を掴んで部屋中引き回し、みたいのを想像してた私が悪いのかw おかげですごく観やすかった。ノラ@宮沢りえがうまかった…。世間知らずで、無邪気で、夫を愛しながらも怖がる、立ち居振舞いがあいくるしい。夫に対するのと、クロクスタに対する声がぜんぜん違ってはっとした。ノラは妻演技かんぺきだよねー。そのぶん、必死にダンスを踊って夫を引き止める彼女が哀れで目を惹きつけられた。堤さんのヘルメルも、鷹揚ににこにこするのを急にやめて沈黙すると人形の家主としての威圧感がすごくて、私までノラと一緒に息が詰まりそうでした。
テーマ的にも、私はどうしても女目線で見ちゃうので息苦しくなったり身につまされたり。男の人って、多かれ少なかれああいう部分ってあるよね。そのことについて深く考えない人が多いというか、無自覚というか。それは昔々から延々と続いてきてる男と女っていう性差と、結婚っていう制度からきているんだろうか。でも実はそれは男の側だけって問題でもなくて、私は私にああしろこうしろと命令するものたち、押しつけられる何か、から上手に逃れてきたつもりだけど、他でもない自分自身の中にそれを見つけて戦慄することがある。考えさせられる劇だった。家を出た人形のラストはあまりにもかなしいよ……。終演後のごあいさつで堤さんが横暴夫のハンサム頭取から、にこっとかわいい笑顔のビーバーになっててキュンとした。

まもなく銀行の頭取に出世しようという弁護士ヘルメルとその妻ノラは、3人の子供と共に、仲むつまじく幸せな生活を送っていた。だがノラには、愛する夫には決して言えない秘密があった。かつて夫が重病に罹ったときに、その治療のため、内緒で夫の友人から借金をし、しかも、その借用証書に、臨終の床にあった父親の署名を捏造していたのだ。それ以来、日々の生活では、借金返済の工面に追われながらも、なんとか平穏に過ごしてきた。
ある日、その借金相手・グロクスタが、夫ヘルメルによって職を追われかけ、秘密の暴露とひきかえにノラに、復職を夫に働きかけるよう迫ってきた。秘密が露見することで、これまでの幸せな家庭が破滅することに恐れ悩むノラ、だが、心の中では、もし夫がこの秘密を知ったとしても、夫は自分への愛のために、必ず自分を擁護してくれるものと強く信じていた。
やがて遂に、夫の手元に、グロクスタから暴露の手紙を届く。そして、ノラは夫の真実の姿と、己がこれから取るべき道を知ることとなる・・・・。
     http://www.siscompany.com/03produce/20ningyou/index.htm