ネコソギラジカル(下)─戯言遣いと青色サヴァン/西尾維新 ★★☆

戯言シリーズ最終巻。というのを考慮すると、正直やっぱりちょっと物足りなかったかな。もともとこのシリーズをいつか読もうと思ったのは、「欠陥製品な戯言遣いが色んな事件で変わって、最終的には請負人になるまで」というあらすじを聞いてだったので、そのへんの決着が見れたのはよかったんだけど。問題の解決方法にちょっとアイデアが浮かばないくらい壊滅的な難題ばっかりだったせいでしょうか。もともとミステリではない心理劇みたいな感じで読んでたものの、クビシメサイコロジカル下の出来が良すぎて期待しちゃいました。この巻では、時宮時刻をやり込めたとこの描写がわかりにくかった、かっこいいっぽかっただけに残念。いーたんが目指すものとして、哀川潤は最後まで爽やかでした。玖渚との最終決着も飛ばさずに読みたかった気もするけど、そこは真心とのやり取りで暗に示されてるわけなのでいいです。あそこで玖渚の言いなりにならず、真心を選んだいーたんだからこそ最後に玖渚を迎えに行けたんだと思うし。終りと言いつつでも私はまだ飛ばしたままのクビキリとヒトクイ、ディクショナル、零崎シリーズもこれから読みます。

 きっと彼らは──
 玖渚友のそばを、離れないだろうから。
 ぼくとは、違って。
 彼らは玖渚友のために──死ねるだろうから。
「で、欠陥製品。これから、どうするんだよ?」
「ん……」
「正直俺、腹減ってんだけどな」零崎は言う。「女に振られたからって、命の恩人相手にその態度はいかんでしょ」
「……そうだな」
 ぼくは──すっと、俯けていた顔をあげた。
 空を見る。
 青い空を。
 青い空は──好きだ。
 そんな風に、思った。
(中略)
 真心だけは、失ってはならないのだから。

 さようなら、玖渚友。

 お前は死ね。
 ぼくは、お前を殺して生きる。