きみとぼくの壊れた世界/西尾維新 ★★★☆

 

読み終わった直後の感想→ わー色んな意味でさいていだーヽ(´∀`)ノ。西尾さんは後半からラストにかけてが面白い作家さんとしてすっかりインプットされました、前半がつまんなくて読むのがつらいんだけど伏線とか感情の繋がり的に読まないわけにはいかないというジレンマ…(ちなみに私的に序盤や展開が面白くて逆に最後が尻すぼみ気味なのは岡嶋二人さんと恩田陸さん)。この結末、ひねくれ者としては嫌いじゃない。嫌いじゃないけど色々だめすぎる…。ちゃんとそこまでのロジックで塞いではあるんだけどね。西尾さんらしいお話でした。この選択を選ぶ主人公を好きなままでいさせるってのはある意味すごいよ。

禁じられた一線を現在進行形で踏み越えつつある兄妹、櫃内様刻(ひつうちさまとき)と櫃内夜月(よるつき)。その友人、迎槻箱彦(むかえづきはこひこ)と琴原りりす。彼らの世界は学園内で起こった密室殺人事件によって決定的にひびわれていく……。 様刻は保健室のひきこもり、病院坂黒猫(びょういんざかくろねこ)とともに事件の解決に乗り出すが――?

「いつだったか、きみを評して『世界にまるで取り合わず』といったが、訂正しよう。世界をないがしろにしているのは確かだったが──それどころではなかった。きみは、あらゆることに自分を勘定にいれなかった。きみ自身の幸福には興味がないといわんばかりに、世界を相手に取り組み過ぎた。この世界が試験問題だったとするなら──きみは、自分の名前を書き忘れたのだよ。きみは、妹さんのため、迎槻くんのため、琴原さんのために──と、色んな嘘をついた。自分の世界のほとんどに対し、きみの世界のほとんどに対し、嘘をついた。世界を騙した。それは、もう、世界を壊してしまわんばかりに。調和をもたらすために、欺瞞を持ち込んだのさ。きみのいうことは嘘ばっかりだ。だから──きみは、最低なんだ。(中略)」
「………………」
「きみは、嘘を、つき過ぎた」
 病院坂の死刑宣告のような決別のような、しかしそれでもどこか現実味にかけた、空々しいその断言を聞いて、僕は──琴原の言葉を借りれば──正直、ほっとしたような、肩の荷が下りたような、そんな気分になった。僕は──精一杯の強がりで、苦笑した。
「病院坂」
「なんだい?」
「今から嘘をつくから、騙されてくれ」
「…………?」
 僕は、力なく、うな垂れた。
「──つらい、よ」

ニンギョウがニンギョウはさすがに脱落。