BALLAD〜名もなき恋のうた


見てきました!良かったよー!もともと私が合戦とか戦争とか沈没とか(何か違う)に弱いってのもあるんだと思うけど(LOTLの城の戦いのシーンでも号泣ですから http://d.hatena.ne.jp/noraneko244/20040308#p1)、さすがしんちゃんの戦国大合戦はストーリーがちゃんとしてる。そして今回は副題に恋ってつけるくらいだから廉姫と又兵衛の恋愛部分に標準を合わせて、淡い恋愛ファンタジーものになってた気がします。
以下思いつくままに箇条書きー。


  • 廉姫との恋愛に焦点を合わせるために、山崎監督は原作で重要なファクターである「金打」と「青空侍」を切ったそうです。「金打」は又兵衛としんちゃんの友情を表す刀を使った約束。青空侍は又兵衛の印象や性格を決定づける名コピー。空の代わりに出てきた自然が樹、「川上の大クヌギ」だったわけなんだけど、経た時のぶんだけ成長して現代に太くなっている木、というのも好きなイメージだったので良かったかも。そのぶんあの石碑はいらなかったかなー。終盤になんだか蛇足が多いな、という感じがしたのも事実。ALWAYSでもそう思ったんだった…(http://d.hatena.ne.jp/noraneko244/20051127#1133103171
  • しんちゃんと又兵衛・廉姫・戦国の人たちとの交流、廉姫と又兵衛の気持ち、そのあたり序盤でちゃんと描写を入れて積み上げてたので感情移入しやすかったように思います。
  • 剛の武士大将っぷりもさまになってました。第一声から、うお舞台の発声だ、と思って、賢一郎を思い出したよ。湖のほとりで賊に絡まれる廉姫を助けるシーンは、動きがスピーディでかっこよかったなあ。
  • 戦さ。いつも思うんだけど、昔はほんとにこんな、地道というか根気のあるというか、そういう殺し合いをよくもやってたもんだなあと。時代の違いを感じます。今や爆弾とか、マシンガンとか、戦闘機とか、だもんね。そういうんじゃない地味で泥くさい城攻めの様子がよく表現されていた。見てる間じゅう、ああ大変そうだなあ、必死だなあってどきどき。命令する声が枯れてるとことか、裏返ってるとことか。そりゃあんなけ矢やら火薬やら飛んできたらこわいよ。
  • 高虎との一騎打ちのシーンで、又兵衛が突っ込みすぎてどどどって転びそうになっちゃうとことか、妙にリアルに感じました。
  • 敵の高虎の描写がちょっといい風に変わってましたね。腰抜けじゃない武士になってた。しんちゃんが逃げ出す敵を叱りつけるシーンも好きだったので見たかった気もしますが、敵が腑抜けだとそれと戦った又兵衛がかっこよく見えないもんね。
  • しんちゃんのキャラは、アニメ通りにはいかないんだろうけどさすがにちょっとブレちゃってた。「勇気が出なくて逃げてばかり」と「手の込んだいたずらをする」って部分はちょっと矛盾というかイメージが結びつかないよね。まあアニメのしんちゃんは破天荒すぎるからな、そこがいいんだけど。実写のしんちゃんは優等生しんちゃん。戦国の人たちとわいわいやってるとこは微笑ましかったけどー。
  • 廉姫と又兵衛。「好きだ」とか「お慕いしてました」とか最後まで言わなくてよかったー。「自由に一緒に生きよう」と「果報者でした」だけ。でもこの時代のこういう身分差があったらそれでも精一杯だったのかな、という感じが出ていてギリギリセーフ。
  • 車に乗ってるときの姫と、「許さぬ、許さぬぞ!」って言ってるときの姫がすんごーく可愛かった。
  • エンドロールの、戦国の人たちと録った携帯ムービーがかわいらしくて、最後まで楽しめました。今はもうそこにいない、照れる又兵衛のかわいらしいこと!!剛の又兵衛役はほんとオイシイ役だなーと思ったです。悦郎並みにな!
  • シンプルで小さな、日本の身分違い、名もなき恋の物語。その通りだと思います。

今は、自分も含めてなんですが、大人が卑怯だと思うんですよ。うまいことやろうとしている人が多すぎる。それに、うまいことやった人がヒーローになっている感じがして、子供たちに悪い影響を与えている気がするんです。『そうじゃないんだよ』ということがちゃんとわかる機会を、この映画で少しでも与えることができたら嬉しいですね。
     パンフレット 監督インタビューより