私の中のあなた

11歳の少女アナは、白血病の姉に臓器を提供するドナーとして、遺伝子操作によってこの世に生まれた。母サラは愛する家族のためなら当然と信じ、アナはこれまで何度も姉の治療のために犠牲を強いられてきた。そんなある日、「もうケイトのために手術を受けるのは嫌。私の体は、自分で守りたい」と、アナは突然、両親を相手に訴訟を起こす。しかし、その決断にはある隠された理由があった…。
初めて母親役に挑戦したキャメロン・ディアスは、衣装やメイクに関してもリアリティを追求。両親を訴える次女役を『リトル・ミス・サンシャイン』などのアビゲイル・ブレスリンが熱演。

原題は「My Sister's Keeper」、原作は未読です。ドナーの役目を担って誕生させられる子ども、親のエゴ、闘病、ホスピス。この内容でヤバイと思った人は映画館よりも家で見たほうがいいかも。泣かずにいられるかこれが…。でもすべてにおいて湿っぽいわけではないというか、姉のケイトは意外とパンクだし、妹のアナは凛として決意を秘めた様子が勇ましい。以下ネタバレ。
結局は、大人(親)よりも子どもたちの方がずっと強く、潔く、きょうだいで理解し合えてたというのがせつなくも美しい。子どもつよい。病室のシーンで、親戚たちが「諦めるな」「気を強く持ってればなおる」みたいな言葉をケイトにかけて、ケイトはいちいち笑顔でうんうんと約束するんだけど、徐々に家族が苦しそうになってくとこの表現がリアルだった。それでもなお、ケイトを諦めない母親もある意味本当の闘士。あそこまで徹底してるとこに「母親」という生き物の特殊性がよく出てたと思う。アナにせめて味方になってくれる弁護士がいてよかったなーと思った。「姉の病気がなかったら自分は生まれてきただろうか?」冒頭の独白の意味が、最後まで見終わったあとでは感謝と誇りに反転するのも素晴らしい。
ひとつだけ、邦題の意味がよくわからんなーと思ってたら、これは原作の翻訳本のタイトルをそのまま持ってきたものだそうで。原作と映画は結末が違うらしいのに!原作の結末は、妹アナが勝訴はするんだけどそのあと交通事故になって脳死になり、姉ケイトに移植されて、姉が長生きする、というもので、だから「わたし(姉)のなかのあなた(妹)」ってことらしい。兄ジェシーの立ち位置も映画では「これは何を示してるんだろう?」って行動の描写があったんだけど、原作ではもっとグレグレ(放火とか)なんだとか。
あと、弁護士の飼い犬ジャッジは「seizure(発作)dog」という介助犬で、飼い主の態度や臭いでてんかん発作が起こるのを察知し知らせるように訓練された犬らしいです。