ゆめみるハワイ/よしもとばなな

ハワイに関するエッセイをまとめたもの。バリといい、旅行の趣味はばななさんと合うかもしれない。またハワイ行きたくなった。

 ステージの上で世界一輝くとか、ちょっと人目をひくとかは、とてもすばらしいことだけれど、おまけなんだ。彼女たちは、その美しさを保つために、生活も律し、食べたいものを食べたいだけ食べることも一切なく、ステージが終わったら自分で荷物を持ってへとへとの体で夜道を帰っていくのだ。(中略)そうやって内面も磨いて生きているんだ。だから踊りの瞬発力があんなにすごいんだ。
(中略)
 やっぱりこの世に楽はないのだ。
 でも、だからこそ人生はすばらしいのだと思う。
 どんな人もそれぞれがトップである場所(相手は仕事か家族化友人か恋人か夫か子どもか…ほんとうにそれぞれ)では同じようにたいへんで、同じようにすばらしいのだから。同じようにぐっとこらえ、ぐちをのみこみ、一瞬にかけて、自分が自分をちゃんと見ているから大丈夫、と毎日をつみかさねる。