大奥 7巻〜11巻/よしながふみ

 

  • 7巻: 吉宗と対立する間部(まなべ)側の男たち、月光院と、その部下・大奥総取締の江島の巻。江島がええ熊…もとい奴すぎて感情移入したところにむごい結末が。吉宗は好きだけどその道筋のためにあくどいことしすぎw けどそれが政事に左右される大奥の切なさ。とてもうまくて面白かった。人の情をあまり解さぬ吉宗の、長女に障害がありそーなところで引き。これはまた辛いことになりそうだは…。
  • 8巻: 歴史的には無能気味な長女・家重の側室の美男子お幸と、奉公に来た料理人の話。寄り道の幕間の小話なんだけど、ジェンダーをふんだんに盛り込んでてすごいなー。家重も、いいのか悪いのか、絶妙な塩梅で設定してあってリアル。それから、吉宗と、側近の黒幕・久通の最期。この二人はやりきった感あった。なんだかんだで幸せだったろうし、吉宗の若い頃のシュッとした顔つきはかっこいい。そんで、吉宗から赤面疱瘡の撲滅を託された、家重付きの意次と平賀源内へと繋がって、話がちゃんとそもそもの病の謎に戻ってきた。続きが気になる。
  • 9巻: 源内が長崎から連れてきたオランダ人とのハーフ・青沼が大奥で蘭学を教え始める。その後ろ盾の田沼意次と、吉宗の孫3人との間でいざこざが起きそうな気配。赤面疱瘡を防ごうとあれこれする医学の話と、将軍目指しての権力争い、「大奥」っぽい内容だった。
  • 10巻: あああ…きたよ久々の理不尽終わりが…。意次も青沼も頑張ったのに最後がこれとは。かなしすぎる。治済に罰がくだりますように…でもよくよく考えればやってることは、吉宗んとこの久通と同じなんだよなあ。やるせない。
  • 11巻: 怪物・徳川治済の孫間引きと、医療チーム生き残りの黒木の大奥戻りの足がかりまで。とかく昔は大人も子どもも病でころっと死ぬし、切腹やら多そうだし、くだらないことでお偉いさんがすぐ部下をころすし、戦国時代なんてもっと殺し合ってたわけだから、なんか今と感覚が違う気がする。そりゃ長寿すぎて社会が行き詰まるわけだよ。もちろん相対的には今の方がいいに決まっているけど。