冷たい校舎の時は止まる(上)(中)(下)/辻村深月


ある雪の日、学校に閉じ込められた男女8人の高校生。どうしても開かない玄関の扉、そして他には誰も登校してこない、時が止まった校舎。不可解な現象の謎を追ううちに彼らは2ヵ月前に起きた学園祭での自殺事件を思い出す。しかし8人は死んだ級友(クラスメート)の名前が思い出せない。死んだのは誰!? 誰もが過ぎる青春という一時代をリアルに切なく描いた長編傑作!

辻村さんの2004年デビュー作。第31回メフィスト賞受賞。やっと読めたー。高校生閉じ込め系のお話で、現実の不思議話に絡めて、誰かの心の中に関係者が取り込まれて…という作品。よく見るよね。誰が犯人なのかのミステリーを織り交ぜつつ登場人物の心理戦を見せるのにとてもいい舞台づけだからだと思う。8人の男女を順番に、詳細に描かれていて、一人ずつ消されていくとこの描写がこわくて、犯人は誰だろう?深夜に読むとコワイよー、となれたので面白かった。続きが気になって3日連続で1冊ずつ読んでしまった。
私的には、上巻を読み終わった段階で自殺したのは春子かな?って思って。生徒会長の諏訪が鷹野に言った「おまえのクラスのやつじゃないか?」から。クラス委員の誰かが屋上に居たなら、それなりに仲が良かったっぽい諏訪はこういう言い方はしないかなーと。まあ鷹野が自殺者だったらその記憶もアテにならないわけだけど。
中巻を読み終わった段階では、他に読んだ辻村さんの叙述トリック的に、鷹野=若いころの榊かな?って思ってた。顔が同じだし、深月との距離も同じくらいだし。榊の下の名前も出てないし。
で、下巻を読んでる段階では、菅原の回想で優等生のヒロ=鷹野だなってことがわかって、んん?どゆこと?って思ってるうちに菅原=菅原榊、という種明かしがされたわけで。なるほどー。こういう場合フルネームが明らかになってない人物には要注意だってことがよくわかったw他の子は全員フルネームだったもんね。
終わり方が、まったりとハッピーエンドで少し拍子抜けしたかな。それまでが緊張感あってこわかっただけに。最後に残った3人の中で結局意識の扉を閉めたのは深月で(榊と鷹野は戻り、深月は現実で生死を2日彷徨ってたわけだから)、その深月が追って戻ってこれたのは、自分を自分でゆるせたからってことでいいのかなー?
読んでる間にたいくつしなかったので、良い読書だった。思春期こわい。