アヒルと鴨のコインロッカー/伊坂幸太郎

前半は、なんだこの変人ばっかの小説はっ!という感じでいつも通りの伊坂節。進むにつれどんどん面白くなってくる。特に琴美ちゃんのツッコミ(ツッコミフェチか私は)と、三角関係な会話が楽しい。この人の書く会話体は私たちが普段使っている言葉に近いので好感度大です。もちろん違うこともありますけど。そして最後、色々な変人の行動が全部繋がって収斂に向かう過程は素晴らしい。すっきり心地良いです。ラストシーンも、決して幸せではない終わりなのに、今までの会話で引かれてきた考え方によって読後感は凄く快い。やさしいラストだなあ。ブータン人の生まれ変わりの思想が生きてる。「重力ピエロ」にしてもそうだったけど、伊坂さんは罪の種類についてよく書いていますよね。関心があるんだろうな。悪人を殺すのは是か否か。復讐は是か否か。今回の話では私の中で「重力ピエロ」よりも納得度が高かった。/★★★★☆