2046

ちょろっとネタバレですよー。

1960年代の香港。売文業で生計を立てる男、チャウ。行きずりの女たちとの夜を繰り返すチャウは、宿泊先のホテルのオーナーの娘・ジンウェンと親しくなる。ジンウェンは日本人青年との叶わぬ恋に打ちのめされていた。その悲恋に心を揺さぶられたチャウは、彼女たちをモデルにした近未来小説を書き始める。小説の主人公は、美しいアンドロイドとミステリートレインで旅をする。目指す場所に辿り着けば、失われた愛が見つかる。その場所の名は、2046−。いつかペンを走らせるチャウの胸の内にも、忘れられない過去の恋が甦っていた。


中盤ぐらいまで、ぽっかーんと観てました。はあ…なんだろうかこれ。という感じで。
木村さんの役どころは、女遊びの激しい小説家(トニー・レオン)が住んでるホテルのオーナーの娘(フェイ・ウォン)の、日本人の恋人&小説家が自己投影して書いてる小説の中に登場する主人公。たぶん前者の、黒い髪を結んでるサラリーマン風なとこを撮り加えたのかな?ふたつの役柄のリンクがあまりうまくいってないような気がしました。いっそ後者の方だけだったなら、映画のマスコット的な意味合いで良かったのかも。前者はそんな日本人男性いるかい!という感じで、エピソードもあんまりなくて薄かったので。
映画の内容としては、誰も本気で愛せない小説家の恋愛遍歴、ということでしょうか。あえていいところだけを感想として残しておくならば。
① チャン・ツィイーが可愛かった。
気が強くて、跳ねっ返りで独占欲が強くて、唯一主人公に振られる役なんだけど、もんのすごい主人公が嫌なやつに思えるほどせつない演技。ああいう駄目な男を、やめようやめようと思いつつもどんどん好きになってっちゃうのがよくわかった。終ったあと時間が経って再会し、酒の席で背中を撫でて貰うとこなんか、キュンとくるよあれは。「なんでそんなにやさしいの?」って、駄目だってばー!そういう男は駄目だってー。
② あと、トニー・レオン。一箇所好きな表情をしたシーンがありました。
オーナーの娘と小説を共同執筆するようになって気が合って、好きになっちゃって、でもそんな相手に限って他に思い人がいるという。クリスマスに食事に誘うんだけど、結局いいひととして自分の職場から彼女の恋人に国際電話をかけさせてあげちゃう、幸せそうな彼女の様子を窓の向こうから見て微笑んでるという場面。
うわあ、さすがにいい表情をするなあとせつなかったです。なんでもないシーンでむしろ陳腐なのに、あの顔を見れたからいっか、とか思っちゃう。「クリスマスの夜は誰もがほんの少しだけぬくもりを求める。だけどその夜、僕は得られなかった」みたいなモノローグがまたいい。
③ そして、小説「2046」世界のアンドロイドたちが物凄く美しかったです。
木村さんにもキスシーンがあったよ!「愛されてなかったんだ」、と気付いて泣くシーンは可愛かったよ。
とにかく間隙というか間の長い映画なので、鑑賞中に他のことを考えるのに都合良かったです。「好きの量」についてとか。これってある意味映画の感想としては失格だなー。