博士の愛した数式/小川洋子 ★★★☆

博士の愛した数式

博士の愛した数式

「僕の記憶は80分しかもたない」。背広にたくさんのメモを止め、口を開けば素数だの完全数だの数字の話ばかりの博士と、その家に派遣された若い家政婦、その10歳の息子の交流を描いた静かでやさしい物語。博士への思いが年齢を超えた愛を匂わせながら、下世話ではなく全然ベタベタしない。日常の中の何気ない光景で3人が親密になっていくさま、そのエピソードが、とってもうまい。たくさん出てくる数学の話も面白くて、博士に惚れそうになったよ…自分だけの基準を持ってるひとってすてきだ。ルート(息子に博士がつけたあだ名)もいい子で、難を言えばイイコすぎてきれいごとな感じがしちゃうところかなあ。でも淡々として、ラストまでとても好きな感じだった。