角

★★★☆ 出版社の校閲で働く麻起子。ある朝起きると、頭に角がはえていた!
角の秘密を解明!とかそういうのは皆無で、角を髪で巻いて隠しながら普通に仕事をする、角がはえてからの28歳の日常。表紙のインパクトが凄い。小説家と担当者と校閲係の馬鹿馬鹿しくも真剣で、ちょっと心温まる青臭いエピソードが色々。4〜8章が面白かった。ラストの第九章「角隠し」は書き下ろしだそうなんだけど、ちょっとええっとなった。
角がはえたことでみんなとちょっと近くなれた、というのはいいな。麻起子の他にも女の子が出てくるとよかったのにな。
細かいことだけど、人物の名前にふりがなが欲しい。小内田はコナイダなのかコウチダなのかオウチダなのか。山平だってサンペイなのかヤマヘイなのかヤマダイラなのか。保田(ヤスダとホウダ)も。読むときにいちいち引っかかってしょうがない。音は重要だ。

明確なのは、出来上がったものだけで評価されます。がんばったとか、うまく関係を保ってやれたとか、まるで評価の対象になりません。
最低の奴、時間をまったく守らない嫌われ者でも、出来上がったものが宝石のように輝いていれば、それでいいんです。


あおい

あおい

★★★ カザマくんと同棲してるさっちゃんの話。何気ない若者(といってもさっちゃんは27歳)の日常だなーウーンこういうテイストかあ、と思っていたら、さり気なく重い過去のトラウマとか出てきて、こういうとこが吉本ばななっぽいのか。全部読んでから冒頭の詩を読み返すと、ちょっといい。
同時収録の「サムのこと」はスミ・モモ・キム・ハス、そして僕アリの無気力グループが友人のサムのお葬式に行く話。