東京タワー/リリー・フランキー ★★★★

東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~

東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~

売れまくってる本。我慢できず会社の後輩から借り上げた。オカンとの関係を、幼少からじっくり描く。序盤中盤は間延びするものの、後半の母への愛の有り様が凄い。東京に出てきてからの数年の穀潰しぶりにはもう全然無理!なんやねんそれ!と思ったけど、それだけに無理に泣かせようとするでもなく素直な気持ちを綴ったのがよくわかる。オカンの貧乏くささ、それを恥じる気持ち、人との関わり方、嫁姑の関係、実の親がいつか必ず死ぬということ、いくつかグサグサと心に突き刺さる。ずっと東京に住んでるひとよりも、地方から(特に田舎の方から)東京に出てきて暮らしているひとには特に感じ入る独特のものがあるんではないかと。医師や看護婦や仕事相手、葬式代に対する憤りには同感。私が社会人を始めたのが小倉だったので、オカンの小倉弁が懐かしかった。読み終わってつい大阪のおかあさんにメールしたわ。
扉題字がすてき。中川弘治っていうのはオトンなんだろうなー。サイトを見に行くと、オカンの生きていた病室で書き始めて、その後同人誌で書いていって、出来上がるまでに4年かかったんだそうだ。ほんとの意味での追悼本なんだなあ。