檻の外/木原音瀬

檻の外 (Holly NOVELS)

檻の外 (Holly NOVELS)

別れから六年経ったある日、堂野崇文は、自宅近くの公園で喜多川圭に再会した。喜多川は「ずっと捜していた。一緒に暮らしたい」と告白する。六年前とまったく変わらぬ一途な想いに堂野の心は乱れ、連絡先を教えてしまう。が、すでに堂野には妻も子供もいて…。『箱の中』待望の続編!せつない二人の物語『雨の日』や『なつやすみ』など、大量書き下ろしを収録。

前作「箱の中」は未読。なんというか、書きたかったのは喜多川なんだろうな、と思うくらい彼が魅力的でよく描かれていた。逆に堂野のことがよくわかんない。堂野が示したものは恋愛というより人間愛とか親の愛に近い。それでも喜多川が欲したものを手に入れられたんなら、それは彼のまっすぐな思いが引き寄せ、招いた自然な報酬だと納得。穂花ちゃんの件はほんとにやるせないけどね…あの事件があったからこそ堂野が喜多川のもとに来たという流れは、全然きれいごとじゃなくて、やけに人間くさく、なまなましかった。書き下ろしの「雨の日」「なつやすみ」でほっとできて読後感は良い、ちょこっと読み始めるつもりだったのに一気に最後まで読んでしまった。確かにキャッキャと萌えれるBLのくくりには入りきらない作品でしたわ!(私信)
ちなみに作者の名前は「このはらなりせ」と読むらしい、読めるかっ

「もし二人目をつくる気になったら教えろよ」
「ど、どうして?」
「死ぬから」
だ、だれが?と間抜けなことを聞いた。喜多川はチラと横目で堂野を見て『俺』と答えた。
(中略)
「死んだら、あんたん家の子供に生まれ変わるかもしれない」