マイビューティフルランドレット

パキスタンからやってきた青年オマール(ゴードン・ウォーネック)は、父とロンドンのみすぼらしいアパートに住んでいた。父はかつてボンベイで新聞記者をしていたが、妻を亡くしアルコールづけになっていた。実業家として成功した叔父ナセルのもとで働き始めたオマールは、コイン・ランドリーの経営をまかされるが、なかなかうまくいかない。そんな時、オマールは幼なじみのジョニー(ダニエル・デイ・ルイス)と再会する。ふたりで力を合わせて改装した新装ランドリーはたちまち大繁盛。男同士で人種も違うふたりだが、いつしか互いに友情以上の想いをいだき始める…。スティーブン・フリアーズ監督。

ロンドンを舞台にパキスタン移民のオマールとロンドンパンクス(要するに不良?)のホモセクシュアルな愛。
行間を読むのがたいへん、だけどたのしい、そんな映画。何もかも、すべてを映し出して語る必要はないんだなあと痛切に感じて。すごい掻き立てられるよー 笑。
人種と差別と金と仲間と家族、いろんなものに遮断されながら二人は一緒にいる。下層のイギリス人は移民を嫌い、ジョニーの仲間たちは「なぜパキのために働く?!俺たちが使うためにこの国に入れた連中だ」と、ジョニーに詰め寄る。移民でありながら財力を持っている一族の一端であるオマールはジョニーを雇い命令し、財と地位のために叔父の娘と結婚しようとする。かつて、ジョニーが移民排斥のデモに加わっていたことを二人ともが気にしている……。でも、そんな障害やわだかまりがあっても、好きだから離れられないってケンカしたり抱き合ったりしてんのがロミジュリみたいで、それよりもせつなくて良い。
叔父さんの家で、睫毛がついてるっつってオマールに手を伸ばされた瞬間のジョニーの表情、どきっとしたなあ。それまでまるきりそういう雰囲気はなくて、だからいつそうなるんだろーって思ってたら、あのたった一瞬だけでアッもうそうなんだ!ってわかる。ランドリーの外装を塗り直してる雇われジョニー、周りで見てる仲間、見せつけるようにポケットに札束をねじ込む雇用主オマールのシーンとか最高に好き。なんだよあの舌!わきわきした様子!かわいい。
ラスト、あーもう死ぬ死ぬぜったい死ぬーっと思ってハラハラしてたから、あんなほにゃんとしたオチでほっとしたような気が抜けたような。「洗う」というのがいろいろ暗示的。大げさでもきれいでもない、いい映画だった。★★★★☆