図書館内乱/有川浩

図書館内乱

図書館内乱

★★★☆ 前作の図書館戦争http://d.hatena.ne.jp/noraneko244/20070215#1171545655)に続くシリーズ2作目。戦闘職種に就いたことを内緒にしている郁の両親が図書館を視察にやってきてドタバタする「両親攪乱作戦」で前作を軽くおさらい。それから三篇の各章はそれぞれ、小牧・柴崎・手塚と脇役の身の回りと心情を掘り下げて描く。ここまではフムフムと普通に読んでた、シリーズものに共通の標準的な面白さだったのが、最終章「図書館の明日はどっちだ」で査問会が始まったあたりから俄然のめりこんで読んだ。あほな子(理屈が得意じゃない子)が査問とかに呼ばれるとすんげーハラハラするよな(関係ないけど鋼のエドが軍罰会議にかけられるお宝本を何度読み返したことか)。ドンパチや肉弾戦はないけど、図書館内の派閥抗争のどろどろ具合もなかなかにスリリング。読み応えがあった、戦争だけが戦いじゃないのだ。そしてだんだんと真ん中の各キャラの話が繋がってきて、構成も良く出来てる!最後のいいとこはやっぱり堂上が持ってくしさー、このシリーズはそうじゃなくっちゃね。憧れの人に誇れる自分でいたい、と願う郁の心意気はうつくしいし、何とか自分を律しようとする堂上も歯がゆいけどかっこよい。ラブコメ部分は相変わらず痒いくらいのラブラブっぷりですが、次の巻で郁がどーするのか非常に楽しみら。くくく、王子様……。