BL小説・木原音瀬「情熱の温度」

情熱の温度 (アイス文庫)

情熱の温度 (アイス文庫)

隆一の父親が自殺しようとしていた男を助けた。男を心配した父親は、男・泉野が再び馬鹿な気を起こさないよう、隆一に世話と監視をさせる。が、偶然なことに、泉野は隆一の高校の教師で、隆一は暗い泉野があまり好きではなかった。しかし、ほとんど毎日泉野を見ているうちにいろんな面が見え、年とった男の、不器用にしか生きられない性格が、どんどん隆一には可愛く見えるように…。神経質な泉野を支えたいと隆一は願うようになるが…。

年下(元生徒)攻×自殺願望ありで暗い高校教師。相変わらず丁寧に丁寧に感情と関係の変化を追っていけるので読み苦しくない。女子高生に本気で惚れたり、恋敵だったはずの高校生に心を許し始めたり、昔は先生と本気の恋をしていたり、泉野はだめな中年だけど純粋さも充分に表現されている。どうでもいいけどBLにはどうしてこうも「男同士でオナニーしあいっこする」というシーンが多発してくるんだ。そんなに男子間ではポピュラーな遊びなのか。今度思い切って実弟に聞いてみよう(*弟はもう20代後半…姉としてその質問はアウトだろうか)。ラストはなんとかかんとかハッピーエンド?なんだけれども、泉野のその気持ちが隆一と同じ恋愛だとは言い切れないよなあと感じる。書き下ろし?なのか「ありふれた日常。」という最後の最後の2頁のなんともいえない後味の悪さとせつなさよ……。しかし挿絵が、攻の高校生よりもオジサン教師のが色っぽく可愛く描けてるってのが凄いよね。