西洋骨董洋菓子店/よしながふみ

西洋骨董洋菓子店 (3) (ウィングス・コミックス)

西洋骨董洋菓子店 (3) (ウィングス・コミックス)

西洋骨董洋菓子店 (4) (ウィングス・コミックス)

西洋骨董洋菓子店 (4) (ウィングス・コミックス)

ふむふむ。いい按配だったなあ。ところどころに過去が挿入されて交錯する、こういう手法は同人畑出身の作家さんに多い気がする。高河ゆんもそうだしな。
そして橘の独白がかっこいい。レシピ18は特に抜群でした。誘拐殺人が起きて、その被害者がアンティークのケーキを食べていた、刑事が張り込みに来る、アンティークの面々を外から見た際の描写、橘が犯人を見つけて……という一連の緊迫した流れ。小野をこっぴどくフったところの回想を無言のコマ割りで見せたあと、後半で「ほんとはあんなこと言いたくなかった」と心情を明かしてみせる。橘は、本当はやさしい人間だってことがよくわかるシーン。レシピ19での真犯人とすれ違うあたりの描写も見事でした。誘拐されたときの真相も描かれたし、私的にはすっきり。橘に害を成した犯人はつかまらないし、橘の悪夢は去らない。それでも「今日もケーキ売っか!」と起き上がった彼は確かに生きている。静か過ぎる終わりだけど、なんだかジーンとしました。小野が帰ってきた橘に「(誘拐された子が)とにかく生きててよかった」と告げたところや、エイジとちぃが一時アンティークを離れて二人きりの店になっていたことも効いてる。エンディングが秀逸でした。橘の人生に幸あれ!