一瞬の風になれ 第一部 イチニツイテ

一瞬の風になれ 第一部 -イチニツイテ-

一瞬の風になれ 第一部 -イチニツイテ-

うーん。この本は第三部まで読んで真価を発揮するみたいなのでまだ1冊目では何とも言えないですが、これなら私は「風が強く吹いている(http://d.hatena.ne.jp/noraneko244/20070215#1171545654)」の方が好き。まああっちは駅伝ですが。地の文が、サッカーの天才の兄と陸上の天才の友人を持つ新一の目線で書かれているから、どことなく子供っぽいのだ。文章や情景描写、心理描写のうまさでいけば、しをんさんの駅伝小説のほうが今んとこ上。んでもこっちも、青春の葛藤やら素直な気持ちやらは十分出ていて微笑ましい。合宿から逃げ出した練習嫌いな天才の連を、泣いて引き止めるシーンが印象深かった。凡人でも、天才でなくても、走りたいと願うことは無駄じゃないんだ。「風が強く〜」で言うと、ニコちゃんや双子のくだりだな。★★☆