恋愛時間/木原音瀬

恋愛時間 (I’Sノベルズ)

恋愛時間 (I’Sノベルズ)

恋愛時間 (アイス文庫)

恋愛時間 (アイス文庫)

LOOP(http://d.hatena.ne.jp/noraneko244/20070909#1189352891)に出てきた有田のお兄ちゃんのほうの物語。時間軸的にはLOOPよりあと。入社したときから有田兄に面倒見てもらってたノロマだけど誠実な仕事ぶりの広瀬が6年かかって自分の気持ちに気づいて告白して……という一応リーマンBL(後輩×先輩)になるのかな。仕事上の絡みはそんなにないものの。お互いを、仕事ぶりを通して相手のことをよく思っている・評価している、というのはいいですね! 色恋とは関係なしに仕事を一緒にすることで性格を知って好きになる、そこにモエがあります。男同士にとって仕事って大きなウェイトじゃないですか。有田兄は普通のかっこいいめのリーマン、を想像しつつ読み。けれど広瀬がちょっと想像しづらかったな、長身で細身で眼鏡なのに仕事はノロマで優しいやつ。BLの攻には向いてなさそーだ(笑)。
書き下ろしの「兄の恋人」は、広瀬の弟の目線から見たお話し。有田兄と広瀬のその後を見るにはちょっと物足りなかったですけど、この弟くんのヘタレで飄々としたキャラがなんかちょっと面白くって。こういう子、ネット世代に居そうだなーとか。最後の「海岸線」も好きな終わり方。「兄の恋人」で広瀬妹に引っ掻き回されたあとの二人が、事情を説明しあったりしないままに仲直りするとことか、じれったいけど大人の男にはありそーなことで、らしくっていいな、と。好きって結局、そういうことだよなあ……

 理屈をこね回すのはやめる。もう、どうでもよかった。女がいても、二股でも、偽物でももうどうでもいい。俺はお前にそばにいてほしい。
 背中を向けると抱きしめられた。温かい背中に目頭が熱くなり、落ちた涙が広瀬の手に落ちて、慌てて服の袖で拭った。(中略)
「僕のことを嫌わないでください」
 嫌えるわけがないだろう。こんなに惚れさせられたのに、嫌えるわけがないだろう。浮気されても、叩き起こされてもその一言で許してしまおうとしているのに。

普通のデキる男がここまではまってしまうってのもすごい。非常にまともな二人のカップルで好感が持てました。初出は1996年!そんな前なのかー。