パンズ・ラビリンス

  
自発的には絶対観に行かないだろう種類の映画なんだけど、誘われて。おお、グッドタイミングでこれぞグロファンタジー!という内容でした(笑)。ゲリラ対フランス軍、非道な大尉のもとに母の再婚でやってきた童話好きの少女が体験する妖精との出会い。泥と虫まみれの木のほこらとか、蛙の内臓とか、手に眼のある化け物とか、映像は見事なレベル。
妄想の力、自分だけの世界ってすごい威力だなあ!と感嘆した。この子に襲いくる悲惨な現実と結末が、だけど自分が魔法の国の王女の生まれ変わりだって思い込みによって緩和される話。彼女の妄想癖は誰も不幸にしていないし、ラスト、遺体を囲んで泣く人々と、死によって魔法国に戻ることができた彼女のうっすらと笑う顔の対比がせつなくも面白い。

1944年、内戦終決後のスペイン。父を亡くした少女オフェリアは、身重の母と共にゲリラが潜む山奥で暮らし始める。そこは母が再婚したフランス軍ビダル大尉の駐屯地だった。体調の思わしくない母を労りながらも、冷酷な義父にどうしても馴染めないでいた彼女の前に妖精が現れ、森の中の迷宮へと導く。そこではパン(牧神)が王女の帰還を待っていた。オフェリアは魔法の王国に戻るために3つの試練を与えられるのだった。