きのう、火星に行った。/笹生陽子 ★★★

きのう、火星に行った。 (わくわくライブラリー)

きのう、火星に行った。 (わくわくライブラリー)

たいせつなのは、想像力と、集中力と、信じる力と、そしてスピード。
おれの名まえは山口拓馬。6年3組。趣味は、なんにもしないこと。特技は、ひたすらサボること。そんなおれに、とつぜんやってきた、……とことんついてない日。
ときどき、おれは思うんだ。なんでもできる人間が、この世でいちばんしあわせだとは、かぎらないんじゃないかって。なんでもできるということは、やりたいことができるというのと、にているようで、ぜんぜんちがう種類のものじゃないかって。

本気になるのなんてかっこわるいって、斜に構えてるような子ども時代に贈る児童書。本気になれることを見つけられるのって実はとっても幸福なこと。そのキッカケのキッカケになったのが、意地悪されて選ばれたハードル走に、その同級生を悔しがらせるために本気で取組むことにし始めたとこからってのがほんとにありそーでいい。主人公のたくまくんが、何でもできるけど冷めてるやつで、でも優しいとこもあって、いいやつ過ぎず悪いやつ過ぎずいい塩梅。弟とのくだりもいいけど、クラスメートとのちょっと距離のあるやりとりが逆に沁みる。
あ、最近書店でよく見るコレ↓は改訂版だったのかー。

きのう、火星に行った。 (講談社文庫)

きのう、火星に行った。 (講談社文庫)