陽炎/今野敏 ★★★☆
- 作者: 今野敏
- 出版社/メーカー: 角川春樹事務所
- 発売日: 2003/06
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (2件) を見る
「そんなことないよ。係長さん、すごく優秀な実践的な心理学者だよ」
「君にそう言われると悪い気はしないが……」
「常に周囲を観察していて、誰が何を考えているかを把握している。だから、あの目つきの悪い部長刑事さんも、太った部長刑事さんも係長のことを信頼しているんだ」
「彼らが信頼しているって? そうかな? 私は頼りない上司だ」
青山は再びほほえんだ。
うん、それはいい上司ですよ、そんなことをしている上司はなかなかいない。しかも自覚がないから嫌味がない、村雨には逆に嫌われてんじゃないかとか思ってるくらいですからねえ。「そうかな?」って可愛いんですけどあづみん!!
須田の言葉に速水が言った。
「彼らのヘマを臨海署が帳消しにしたんだからな。評価もするだろう」
そうだ。速水、そして須田。おまえたちの手柄だ。
そう言ってやりたかった。しかし、口には出さなかった。
安積は彼らが誇らしく、その気持ちをじっとかみしめているのだった。