図書館革命/有川浩 ★★★☆

図書館革命

図書館革命

図書館シリーズ4冊目にして最終巻(前回図書館内乱の感想→http://d.hatena.ne.jp/noraneko244/20070508#1178627752)。既に2誌で漫画化され、4月からノイタミナでアニメ化が決まっています。
冒頭はお約束のラブコメから。んでも、堂上が落ち着いててなんかつまんない(笑)。自覚が出てきて開き直ったのかなー。その後は一気に真面目な展開へ。メディア良化法との戦いの均衡の変化、未来企画との関係の変化(手塚兄はすごい出世だな!きっと人気だったんでしょう・笑)、世間へのアピール、山場は大使館駆け込みによる亡命。テレビ界との協力のくだりは爽快だった。
この難しくしようと思えばいくらでも突っ込めるテーマを、あえてここで抑えて、エンタメとして提供してるのがいい。表現についていろいろ考えさせられるし、うまくまとまっている…そのぶんちょっと爆発力は足りないけど、でもちゃんと終わらせたのはいいことだ。郁と堂上もなるようになったしな!この2人の恋愛だとそうなるのが自然なかんじがする。
長らくお疲れ様でした。最初のほうの話を忘れてきたので、漫画やアニメを観るのにちょーどいいや。

 笠原さんとそっくりだった、と言いながら小牧は笑った。
「喜怒哀楽激しくて、向こう見ずで血が熱くて。昔の堂上を知ってる俺たちはみんな、笠原さんを叱ってる堂上を見るとおかしくて仕方ない。堂上が昔の堂上を叱ってるようにしか見えないんだから」
 郁も将来そんなふうになるのだろうか、と手塚はふと思った。昔の堂上とそっくりだと言う郁の将来が今の堂上のようになるとはとても思えない。
「けどね、笠原さんの前だと堂上は勢いに負けてたまに昔に戻る。それが俺たちには微笑ましいんだけど、同時に危なっかしくもあるんだ。笠原さんが二人って、純粋に考えて怖いだろ?」
「恐いです」
 これは即答だ。想像するだけで恐い。