瞼の母@世田谷パブリックシアター 感想 

わたし的千秋楽を観終えてきました、瞼の母
最後のお席は最前列、A列13番。ほっかむりつよしのド真ん前です。殺す気か…!!!という勢いで呼吸が止まりました。見上げたあのひとの造形、ポーズ、一身に浴びる光り、美しすぎて異次元。内側から発光するようなその御姿に、ただひたすらポオとなった、よ。
記念に、気になったところ、良かったところ、初期より変わったところ、モエどころ、などもろもろをメモしとこと思いますです。






  序幕



一、金町瓦焼の家

  • 宮の七五郎の福井くん。ちゃんとこっわい顔、すごく刺客っぽい凄惨さを漂わせた表情でした。比べて半次郎のヘタレっぽい顔がかわいい。
  • 忠太郎シュタタタターと登場。足速い。かっこいい。母子と話しながら、目の前にやってきたー。目が、きらっきら煌いていて否応無しに魅入る。わらじの先から出た足の指先が、振り返る一瞬前にぴくんと震える。とこまで見える。ど、動悸が…。
  • 忠太郎>半次郎の眉毛の差がすごい。2倍くらいある。骨格くっきり。
  • 半次郎一家が家の中に入ってから、刺客の二人が舞台に現われるまでの間がいつ観ても短すぎるー。もうちっと間を空ければいいのにな、母子の余韻を味わいたいよ。「さあ、荷物はここへまとめといた」ってあのセリフと動きは必要なのか?(まあ戯曲通りなわけですが)七五郎の忠実なかわいいやつぶりの表現?w
  • 颯爽と助けに駆けつけた忠太郎。「こっち向けぃっ!」って野太い声に痺れる。半次を後ろに庇い、刀を構えて低くなった忠太郎の眼が、ギラッと光った。うお、渡世人
  • 2vs2の殺陣は、遠くから見ると「いまの斬られてんちゃうん」とか呑気に思ってたけど、間近で見るとやっぱり大迫力。目の前で忠太郎の刀が翻り、思わず座席に背を引いてしまうほど。命のやりとり、緊迫感が出ていた。
  • 見事討ち果たした忠太郎に、「あにい!」と犬っころのように転がり寄る半次。「ど、どうしてここへまた来たんだっ?」と言いつつ、座り込んで伸ばした半次郎の左手が、なんと中腰になってる忠太郎の右太腿の上に!しかもちょっと奥に向けて擦りあげてるような?!(ここで脳内薔薇色)初期はそんなに密着してなかったくせにー!仲良くなってるううう、と悦ぶ私。大喝采ですとも(もちろん表面上は真顔)。
  • 忠太郎→半次郎にかける言葉も、兄弟分の情が増しています。言い方がやさしーの。「半次、気をつけて行け、な」「半次、堅気になった姿を、いつか一度きっと見に行くぜ」。初期に観たときは、こうは言ってるけどもう一生会いにこないんだろうな、って感じだったのが、しっかりと心を込めた約束になっていた。兄弟分ばんざい!
  • 半次母おむらに筆を取ってもらって書く場面。忠太郎が前にキターと思ったら、お着物の中身がばっちしこっち向きにご開帳。もう…呼吸ができない…!そして犯行声明を書いてる間、一語一語進むごとに忠太郎の感情が高ぶってって、書き終るまでは・と必死でそれを抑えてるのが感じられた。忠太かわいい…いいこ…。
  • 向かって右側の前に出て、「思い出して恋しさに、時々忠太郎は、この…この面に青髭のある年になっても」っていうセリフ。この、んとこで詰まる言い方が毎回とちったように聞こえてどきっとしちゃう。違うんです、戯曲そのままの台詞回しに忠実なだけなんですすす、と弁明したくなる(誰に)。


二、夏の夜の街

  • 浴衣で踊ってる男女は当然ながらみなさん兼ね役なのですね。敵役の人も踊ってて、人相がわかると吹きそうにw
  • ここの忠太郎はスマートですてき。酔っ払いおじさんの手を掴んで軽ーくひねっちまうなんざ惚れ惚れする。「また見かけたらあげるが、今夜はこれだけ」「あげますよ」の言い方がすき。去り際の「いいんだとも」までは渋いのに、「とっておきねえ!」だけが妙に明るく浮いてるのは剛ならではなのかなー。さわやかちゅうた。


三、冬の夜の街

  • 直ちゃん母子はいつ見てもなごむねえ。
  • デター!ほっかむりさまは今日もご健在です。ほっかむりの結び目が、ちょうど左頬の耳の下から顎にかけて、まるでかわいいフリルのよう。
  • 傘の広げ方がね、手馴れていてまたかっこいいんだ。
  • 目の前でほっかむり忠太郎がたそがれている。右手を着物の中にしまい込み、内側から襟の合わせをつまむ。握られたちんまりとした手の甲のかわゆいこと!懐手って言うんだって! まず左下に目を伏せ、右の上空を仰ぎ見て、またうつむける……一連の動作のカンペキな様ったらすごい。降りしきる細かな雨の糸が見えるよう。濡れながら、探しても見つからない母を思う無宿の忠太郎、その純粋で美しいさみしさに胸が痛くなる。


  大詰



一、柳橋水熊横丁

  • 金五郎かーわいいvvvつったら、観劇後の会合でまったく同意を得られませんでした。えええええ!!かわいいやん!髪が密かにウェ〜ビ〜なんだよ(天パ設定?)。「色恋に年があるもんかーいv」ですよ。裏地がかわいい真っ赤なお着物をつまんで足を露わに、頻繁に片足あげちゃうんだよ?あれでも30歳代なんだよ!(演じるは高橋長英さん。30歳には無理があるw)
  • とにかく金五郎が出てるシーンではにやにや笑う私。板前善三郎のタマを掴むに至っては、心中でキャーvとなる。間違ってるんだわかってらあ!
  • おとらが夜鷹だと聞いて、表情を止め、何気なく背をさすっていた手を離す忠太郎。忠太郎がさ、落ちぶれてる妙齢の女性ばかりに話しかけるのは、お母さんに不幸になっててほしい…わけじゃないだろうけど(なんて意地の悪い見方)。心配になって手助けをしたくなるんだろうな。
  • お金をもらって、「兄さん、おまえさん…v」と襟元をはだけるおとらの渾身のギャグが実はこの劇中でいちばん笑える。暗くなりすぎない工夫としてグッドだと思うのです。
  • 「たとい何十年経ったとて生みの親だ、子じゃねえか、体中にいっぱいある血は、双方ともにおんなじなんだ」って、言い方がリズムがあって声に張りがあってとてもいいの。無邪気に「母」というものを信じきっているのだ。腰のあたりを手のひらでぽんと叩く、そのしぐささえ色っぽい。
  • このあとで水熊の戸口を行ったり来たり、訪ねようかやめようか逡巡しながら行き来するくだりは感情の揺れが表現されていていいですねー。


二、同く座敷

  • すごくスムーズ。おはまの顔を見て驚いて、やっと見つけたと嬉しそうに名乗って、過去を懐かしみ、信じてもらおうと懸命に説明し、……そのすべてが打ち砕かれる瞬間をこうもまのあたりにしてしまうと、やっぱりおはまの心情になんで?と思ってしまう。すぐに改心するだけに。
  • この回はあんまり涙は出てない回。んでも、超銀白くてでかいお鼻水は出た(笑)。忠太郎は指でえいやっと拭ってました。
  • 「これほど慕う子の心が、親の心には通じねえ の だ」って言い方が好きだったのに、後半は「通じねぇんだ」と口語っぽくなってきた。ざんねんー。


三、荒川堤

  • 金五郎vs忠太郎対決。向こうの方からこっちを睨んで鋭く、「誰だ!」と問いただす忠太郎がかっこいい。
  • 着物の裾を折り返して帯で留めたあの股旅スタイル、超かわいいよね。特に後姿がたまりません。隙間から覗く白下着と肌色素肌の太腿。動き易そうだし。こんなにもバリエーションいろいろなお召し物を見れたのもこの舞台の嬉しいところ。
  • 殺陣パート2。目、目の前で忠太郎がご開帳&数十秒の踏ん張り……!意気地のねえ私は思わず目を、太腿あたりにそらしたのでござんす。隣りのK姐はむしろ股間をガン見だったらしーよw
  • 膝まづき、「俺あ、こう、上下の瞼を合わせりゃ……」と憑き物の落ちたような・それでいて淋しい乾いた顔で身支度をする忠太郎。目線が思わず、ばっちり斜めっから見える着物の中の白下着に。あーふとももむちっとしてる…やーらかそー(*´q`*)と涎が垂れた。形状記憶に残すためにひたすら凝視してきました。
  • 母への未練を断ち切るように金五郎を斬り、淋しい人殺しに戻って、朝の真っ赤な光りに背いて歩いていったあのひとが。行く先にどうか別の形の幸福や温もりが待っていますように。
  • 傷心のまますぐに半次に会いに行けばいいよ!@Mさま推奨案。己にはできなかった足抜けを、母妹の愛情を手助けに成し遂げた弟分を見て忠太郎は何を思うだろうか。きっと、心底嬉しく喜ぶと思う。それが忠太郎のいいとこだな。
  • 生きろ、忠太郎。
  • っていうか、中居さんが来てたらしいよ。やっぱり気付かねえし。
  • 明日で瞼の母も千秋楽。最後まで、舞台で生きて輝いてください剛さん。