世田谷一家殺人事件 侵入者たちの告白/齊藤寅 ★★☆

世田谷一家殺人事件―侵入者たちの告白

世田谷一家殺人事件―侵入者たちの告白

一時期話題になりましたよねこの本。2000年12月30日に起きた当該事件の犯人が、外国人留学生がお金目当てに日本を猟場に組織するクリミナル・グループである、ということを取材過程を含めて書いたもの。書き方がワイドショー的というか、ちょっとどうなの…と思いつつ。本当にノンフィクションを書きたいなら、以前読んだ「巣鴨プリズン13号鉄扉」のように、感情を交えず小説のような書き方もせず淡々と事実だけを書くべきだと思う。この事件まだ解決してないんですよね。

「私たちを結びつけていつものは、カネだけです。(中略)」
 彼らに精神的な何かは必要ではないのである。痴情、怨恨、あるいは復讐が原因となった犯罪は一切ない。
 またグループ内では相互に競争心が芽生える、ともいう。だからこそ、大きな犯罪をやりとげて自己顕示を行なうのである。これが彼らを特殊なグループとして際立たせている。(中略)
 そして、もう一つ、とりわけ重要なのは、このグループが犯罪を行なうのは、この日本国内のみである、という点である。そして、その犯罪が残忍であればあるほど、彼らはグループ内で優位な地位に立つことができるというのだ。
 (中略)彼らの犯罪にたいして、この国があまりに無防備なのである。
 自分たちをいつまでも下級外国人扱いする「あの目がいやで」積極的にグループに加わり、やがて中心になっていった韓国人がいた。その一方でセキュリティーに無頓着でバカみたいに人を信じる日本人からカネを奪いとるためにグループ入りしたという中国人もいた。