乙女なげやり/三浦しをん

 


しをんさんは腐のお仲間なので、エッセイを読むとあれもこれも必要以上によくわかって面白いのです。年もいっこ上なだけだし。ぐうたらしている漫画好きの日常を主に、今回は「旅番組を男二人組でつくるべきだ!という話」「白い巨塔キルビルを見た感想」「しをんさんをブタさんと呼び、ジロウ君とたびたび深夜のドライブに出かけていく言葉キツメの弟くんの話」が好きだったかなー。特に弟くん!いい!きっつい東京弁なのがまたいい(どえむ?)。
私にも弟がいるんだけど、学生の頃ヤマさん(仮名)っていう超仲の良いお友達がいてニヤニヤしてたものです。よく泊まりに行ってたし、しょっちゅう会話に名前が出てくるし、「ヤマさん歌めっちゃうまいねん」と嬉しそうだった。私は毎回、なぜあんたが自慢げやねん、と内心思っていた。結局、ヤマさんの結婚式の司会まで請け負っていたのでラブではなかったようだが(…いや、かえってせつなくね?)。卒業しても仕事が忙しくなっても交流はあるようで、転職しようかというときまで相談していたようで。ヤマさんが自分の勤めてる会社に誘ってくれたんだけど、弟は結局それをよしとはせず、私が「なんで?情報もらえるし友達がおったら心強いやん」って言ったら「友達と同じ会社なんてなんか嫌やわ。そんな世話かけられんし」とかなんとか。男の友情って長いよね。あともう一人、弟には幼稚園の頃から裏のアパートに住んでいたトシくん(仮名)というのもいた。いわゆる幼馴染み。トシくんは小柄で色素が薄い美少年だった(今から思えば)。お父さんがコワめで家の躾が厳しく、年の離れた兄が二人いたが二人とも学歴がよく、小さい頃は兄の受験のために家に居られなくてよく歩いて30秒の我が家に入り浸っていた。それこそ毎日。今でもあそこのアパートを思い出そうとすると、古いテレビの前に並んで座ってファミコンをやっている弟とトシくんの背中が浮かぶ。私は後ろのベッドでジャンプを読んでいたのだ。トシくんは「変人」と評判が立つ感じに成長し、確か京大だか阪大だかに行ったはず。……何の話だっけ?