女の子ものがたり ★★★☆

  

36歳漫画家の菜都美は、スランプに陥ってからというもの、昼間からビールを飲み、タライで水浴びをしたり、ソファで昼寝をしたりと、一向に立ち直ろうとする気配がない。新米の担当編集者、財前はそんな菜都美に「先生、友達いないでしょう?」と、キツイ言葉を投げかける。その一言で、菜都美は遠い昔、自分がまだ「女の子」だった頃に思いを馳せる。そして、人生最大のケンカをした「友達」の事を思い出すのだった。

西原理恵子原作の、自身をモデルにした漫画家が、昔の友達二人との思い出を回想する映画。境遇は全然違うのに、妙に共感したなあ。一緒に見に行った子二人もそう言ってたから、わりと女の子すべてに普遍的なものを描いてるのかもしんない。さすが「女の子ものがたり」ってタイトル付いてるだけある。一見明るいのに絶望感がすごい前半。原作にはないらしい現在設定の大人のなつみと過去とが交錯する後半。好きなシーンはいくつかあります。

  • 小学生時代、貧乏なきーちゃんとみさちゃんが苛められてるのを、お金持ちっぽいマナちゃんがなっちゃんに頼まれて助けてくれるってシーンがあるんだけど、そこで助けてくれたマナちゃんに対して「きーちゃんとみさちゃんは嫌い。けどマナちゃんが一番嫌い」と言い放って走ってくなつみ。マナちゃんの余裕ある無意識の態度と、それに卑屈になるなつみの歪みみたいなものがじれったい感じに出ていてうまいなあと思った。
  • きーちゃんとケンカ別れして、田舎を出て行くシーン。今まで何があってもケラケラと笑って仲良くしてたのに、初めての大喧嘩。貧乏な自分たちとは違うんだから、ってわざときつく突き放して東京に送り出してくれようとしてるんだなあとすんごく伝わってきてよかった。
  • きーちゃんの娘がなっちゃん、て呼びかけてくれるシーン。ベタだけどやっぱ泣けるんだよ。
  • 菜都美役は、森迫永依(小学生)→大後寿々花(高校生)→深津絵里(大人の現在)って変わるんだけど、森迫→大後がばっちりなだけに、寿々花ちゃんが大人になっても深っちゃんにはならねーだろー!とちょっと思ったりして。でも最後のモノローグはよかったからいっか。

西原さんのインタビューを読むと、テーマは女の子の自立らしい→ http://www.moviecollection.jp/news/detail.html?p=587http://www.envy-j.com/lifestyle/bk/090826/index.html