青少年育成条例が明日可決の見通し

現状。13日の総務委員会に合わせて、前回3月は反対していた民主党(都議会のぎりぎり過半数を占めている)が付帯決議付きで賛成に回り、総務委員会で可決されました。自民党公明党は元から会派として賛成ですので、15日の本会議で賛成多数で成立するでしょう。

<付帯決議>
1『第七条第二号および第八条第一項第二号の規定の適用に当たっては、作品を創作した者が当該作品に表現した芸術性、社会性、学性、諧謔的批判性の趣旨を酌み取り、慎重に運用すること。』
2『また、東京都青少年健全育成審議会の諮問に当たっては、新たな基準を追加した改正条例の趣旨に鑑み、検討時間の確保など適正な運用に努めること。』

ただし、付帯決議には法的拘束力はありません。条文自体に組み込まなければ意味はないに等しいです。



「何かの自由な表現が発表の場を逸脱しすぎたからといってその内容に行政が介入するのは断固反対、ただ表現者側も自由な表現を守るために他者に迷惑を掛けないよう発表の場を自ら律して欲しい」 http://twitter.com/syulan/status/14259191573127168





<規制推進派・賛成派の意見と態度> やっぱり普通は、賛成してる人の意見も知らなくてはいけないですよね。

  • 規制推進派中心にいる東京都小学校PTA協議会会長のインタビュー。なぜか現在は記事は削除されて欠番になっています。キャッシュ→ ASCII.jp:都小P 新谷珠恵会長に聞く、都条例改正を推進する理由|ゼロから分かる東京都青少年健全育成条例改正問題 社団法人東京都小学校PTA協議会会長インタビュー<前編> http://backupurl.com/84wpsj

『自分もPTA』という人からの反論もありますが、ある程度の年齢の大人はみんな保護者なので、色々な人がいるなと思うだけです。私たちが言うPTAは、子どもの健全な成長を考えている親であり、それが私たちなのです

都小P 新谷会長「幼い頃から二次元児童ポルノ漫画に触れることで、子どもの発達は歪んでしまいます。こういうことを言うと、『エロ漫画が子どもに悪影響を与えるというデータはあるのか』と言う人もいるでしょう。ですが、『エロ漫画を見たら健全な発達に(良い)影響が出た』というデータがこれまであったでしょうか。
 子どもは日々色々学んで生きていくので、数式的な答えはありません。心理学者の先生に聞いたのですが、『学術的なデータは無理』と言われてしまいました。逆に、『影響しない』という論もあるくらいです。
 でも、私たち親の感覚では、『データはあるのか』と言われること自体がありえないですね。素直な親の感覚として、こういうものが規制なしで存在すること自体が問題なのであり、例えデータがなくても子どもを守るために読ませたくないという気持ちです。
 子どものことを考えてないから二次元児童ポルノを喜べるのだし、そういうことを言う人は子どもを守ろうという感覚がないのかなと思ってしまいます。こういうことを言うと、また大騒ぎになって炎上してしまうかなと思いますが(笑)」

「(中略)『親が買うなと言えばいい』『隠すような教育をすることがいけない』という意見もあります。ですが、子どもは本当にバカで未熟なのです。
 特に東京では、家庭の教育だけでは無理です。家庭だけでなく学校でも教育してもらいたいし、地域の目や企業も大切です。そういうものは作らない売らない社会のシステムや、法律での規制が必要です。他の国のように、子どもは日本の将来の人材と思ってもらいたいし、本気で子どもへの影響を考えてほしいのです」

一言でいえば「不法な性行為を過激に、不当に賛美している漫画などを、18歳未満に販売しないよう、区分陳列しよう」ということ。ごく自然な道徳的発想である。
 それを、判断基準があいまいとか、拡大解釈されるとか描く側が自由な表現を自制するとか、出版社の自主規制でよいとか、あまた反論があるが、どれも大衆を説得する力はない。結局「独りよがり」に聞こえる。
 現に、この話しを街頭でやると、通りがかりの人から激励の言葉が私に寄せられる。「賛成」は説得力があるのである。

吉田のぶお都議「実写や文字がOKなのは何故?」
浅川英夫参事(青少年対策担当部長)「実写は業界の規制団体がうまく作用している。小説は読む人によって様々な理解がある。その点、漫画やアニメは誰が見ても読んでも同じで一つの理解しかできないから

吉田都議)答申では児童を性の対象として取り扱うメディアについての話である。これを前回、今回とコロコロ変えている。個々の理由は適切なのか。強姦については現行でも規制できる。
(浅川部長)強姦が描かれていても性的指摘をうけるかどうかは様々。性器の明確さや体液の多さで判断される。

東京都の石原慎太郎知事は7日、同性愛者について「どこかやっぱり足りない感じがする。遺伝とかのせいでしょう。マイノリティーで気の毒ですよ」と発言した。石原知事は3日にPTA団体から性的な漫画の規制強化を陳情された際、「テレビなんかでも同性愛者の連中が出てきて平気でやるでしょ。日本は野放図になり過ぎている」と述べており、その真意を確認する記者の質問に答えた。 7日の石原知事は、過去に米・サンフランシスコを視察した際の記憶として、「ゲイのパレードを見ましたけど、見てて本当に気の毒だと思った。男のペア、女のペアあるけど、どこかやっぱり足りない感じがする」と話した。

(※「テレビ」の「同性愛者」出演はどう考えても今回の改正案での規制対象ではありません)


<記事>

 集英社鳥嶋和彦専務は13日、都内で開かれた漫画新人賞授賞式で、来年3月の東京国際アニメフェアへの参加を拒否するだけでなく、同社刊行の漫画を原作とするアニメ作品の出展も認めない方針を表明した。過激な性描写のある漫画やアニメを販売規制する東京都青少年健全育成条例改正への抗議の一環。
 同専務は新人漫画家らに「ぜひ石原慎太郎都知事)をぶっ飛ばすような漫画を」と訴えた。茨木政彦同社第3編集部長も「萎縮しないで好きなものを描いてほしい。面白ければジャンプは全部載せる」と呼び掛けた。


<反対意見>


<参考>

CIEL 1月号「柳先輩とつばめくん」8ページのショート漫画を描きました。大学の先輩×後輩の初H漫画です。
初めは高校生の初々しい感じで考えていたのですが、今回は年齢をあげるという事になり、大学生にしました。 http://blog.livedoor.jp/slo0902/



3月に出された「非実在青少年」案の際、反対派が不安に思ったことに対する回答集が出された(http://ow.ly/3nx2E)。6月に否決されたあと、今回再度出てきた「非実在性犯罪」改正案には、都民に誤解を与えた回答集にあった事項が当然盛り込まれてると思ったら、まったくなく、規制範囲は広がってた。回答集・付帯決議には法的拘束力はなく、都職員・都議会の口約束みたいなもの。そして都議会は反対の意見になど耳を傾ける気はない(都議会に届いた請願陳情書約330件は「不採択」で破棄)。10年経ったあとには恣意的な拡大解釈を許す条例文だけが残る。今規制したいと思ってる人が本当に子どものためを思ってるとしても、ある特定の言論を統制弾圧したいと考えた権力者・圧力団体が現れたとき、条例は利用される。この条例によって、私たちは将来の自分たちの・そして子どもたちの表現の自由をどうぞ好きな解釈で取り締まってくださいと権力者に首を差し出した、その一端を開いた。条例が恣意的に運用されないよう、また更に横暴な規制案が提出されないよう、監視していかなくてはいけない。
このまま表現規制が進んだ社会で、のちに振り返ったとき「あそこがターニング・ポイントだったね」と言われるような日にならないことを祈ります。子どもが健全に育たないという名目(実証データはなくあるのは嫌悪感情のみ、充分な審議の時間を取らず可決しようとしていることから)で、性描写の次は「物語の中の」何を規制するんでしょうね?暴力団描写?自殺、戦争、殺人、虐め、武器、煙草、賄賂、政治批判…?ばかばかしい。




この条例は、本会議で成立後、来年7月までに施行されます。