新世界より/貴志祐介 ★★★☆

1000年後の日本。「呪力(じゅりょく)」こと、念動力を手に入れた人類は、「悪鬼(あっき)」と「業魔(ごうま)」という忌まわしい伝説に怯えつつも、平和な社会を築いていた。しかし、学校の徹底した管理下にあった子供たちが、禁を犯したため、突然の悪夢が襲いかかる!崩れ去る見せかけの平和。異形のアーカイブが語る、人類の血塗られた歴史の真実とは!?

面白かったんだけど、長い!絶対もっとコンパクトにまとめられたはず。町にふさわしくない不穏分子は早めに排除してしまう人間社会、という世界観はNO.6と同じだったんだけど、さすがに説得力がある。呪力という超能力みたいなのを持っている人類、とその奴隷的な生態系であるバケネズミが話の中心。真理亜と守がどうなったかってくだりはもうちょっと書いてあるとよかったのに…野狐丸との会話とかでも入れれたよね?なんでこの内容で、初めに手記を書くというてい=主人公が生き延びていることを明かしてしまうんだろう、と思ったけど、何かが起こるぞ起こるぞーと引っ張る文言が多くて、そうしないとこの長さの物語についていきにくいからなのかなーと。アニメになりそうな設定てんこ盛りの話なのに、なんでこんなにすっきりしないかっていうと、結局早季がこの時代の社会の在り方を打ち破れてない、破ろうとして足掻ききっていないからかも。とはいえ充分、ストーリーは目が離せないしうまいです。ただ、単純に地の文の美しさでいえばやっぱり私はばななさんの文章や伊坂さんのリズムが好き。