白河夜船/よしもとばなな


何度目かの、再読。今の気分にぴったりだと思ったのと、なんてことない記述なのに下記の部分を強烈に覚えてて読み返したいと思ったから(こういうのが現実に同じ会社にいたらぶん殴りたいのだけどw残念ながら真理だなあと思ってしまう)。やっぱばななさんは初期が面白い。あとがきを見ると、平成元年6月に書かれた本なので、もう27年前か。27年経って、まだ私に読み返されているという、物語ってやっぱりすごい。落ち込んでいたけれど、少しやる気が出てきた。

私はアメリカにホームステイに行ってしまったいとこの代理として3ヶ月間だけ、そこにいたのだが、つとめてバカのふりをしていた。別に本人が本当はおりこうさんなわけでも何でもないのだけれど、ああいう場所であんまり懸命に働くと、単に仕事が次々に増えて損をするのを知っていたので、手を抜いたのだ。単なる雑用のバイトが忙しくなるほど空しいことはない。私はずっと自分の回路を3分の1くらいしか開かずにぼんやり働いていた。おかげで遅刻はするし、間違うし、データを1行ずつずらして打ち込むし、白い紙をFAXで送ったりして、わざとではないがそういうことを3日に1ぺんくらいずつしていたら、誰も私にむずかしいことを頼まなくなり、えらく楽になった。