レインツリーの国/有川浩

レインツリーの国

レインツリーの国

伸行は昔好きだった小説の感想をネットで検索していて、「レインツリーの国」というブログを見つける。その管理人ひとみの書いた文章に惹かれた伸行はメールを出した。意外にも返事が返ってきてから、二人は頻繁にメールのやり取りをするようになる。仲良くなるにつれどうしても会いたくなった伸行は、リアルで会うことを提案するが、ひとみはなかなか頷かなかった。やっと漕ぎつけた初対面の日。ひとみは伸の声が高いか低いかを気にしたり、観る映画を譲らなかったり、少しずつメールでのやりとりと違う面を見せ始める。実はひとみには隠したいことがあったのだ。それに気付かず彼女を傷つけてしまった伸行だが…………

★★★★ ラノベの図書館シリーズで人気の有川さん初読み。面白かった!いわゆる恋愛小説には「ナラタージュhttp://d.hatena.ne.jp/noraneko244/20060505#1146842132)」くらいしかピンとこなかった私でもどんどん読み進められた。特にネット上・メール上だけでの人間関係を持ってる、このはてダを読みにくるようなひと(笑)には前半の展開は実感としてよくわかるんじゃないかと。
伸行くんは関西弁でね、最初の方のメールで女としてはちょっとヒいて、傷つけたあとのメールでもっとヒいた・笑。もの別れしたあとのメールで応酬してる言葉はあまりにも本音であけすけで、ぐっさぐさ鋭かったなあ。こいつらメールで喧嘩してるよ、って。凄い。痛い。こんなんされたら次が気になってしょーがなくって、一気に読んじゃうしかないです。ネタバレ見ないで読んだ方が面白いと思うから言えないけど、ひとみの秘密に関する情報は、ためになった。そういう違いがあるんだって知らなかったし、なるほどなあと思った。実はうちの会社にもそういう子がいて、少し対応に困る場面もあって、参考になる。
終わり方は一応はハッピーでよかったんだけど、まあ伸くんみたいな男子は、いないよね・笑。うーん、正確には、きっといるんだろうけどそういう人だってことを心底信じることが難しい、ってことかな。
この話が実在する書籍として「図書館内乱」に登場するらしいので読むのが楽しみ。他作品も読んでみようと思うです。なんせこのド直球の恋愛ものの方が異色みたいなので。
追記メモ:作中に出てくる、伸行とひとみを引き合わせた「フェアリーゲーム」という小説のモデルとなったと思われる本→「妖精作戦 (ソノラマ文庫 (283))」「ハレーション・ゴースト―妖精作戦 Part2 (ソノラマ文庫 (294))」「カーニバル・ナイト―妖精作戦 Part3 (ソノラマ文庫 (303))」らしい。