第14回読売演劇大賞発表

2006年1年間の舞台芸術から選考した第14回読売演劇大賞(主催・読売新聞社、後援・日本テレビ放送網)が決まりました。正賞は佐藤忠良氏制作のブロンズ像「蒼穹(そうきゅう)」。副賞は大賞・最優秀男優賞に200万円、その他の最優秀各賞、杉村春子賞、芸術栄誉賞に100万円を贈ります。読売演劇大賞表彰式:2007年2月28日

 ◆大賞・最優秀男優賞=段田安則
 ◆最優秀作品賞=「ヴァージニア・ウルフなんかこわくない?」(シス・カンパニー
 ◆同女優賞=寺島しのぶ
 ◆同演出家賞=串田和美
 ◆同スタッフ賞=二村周作
 杉村春子賞=草ナギ剛
 ◆芸術栄誉賞=小幡欣治

http://info.yomiuri.co.jp/event/07001/200402040635-1.htm



各部門の授賞者・団体

■作品賞(公演日順)
シス・カンパニー『屋上の狂人』(シアタートラム)
・ TPT『スラブ・ボーイズ』(ベニサン・ピット)
宝塚歌劇団 宙組『NEVER SAY GOODBYE』(東京宝塚劇場)
シス・カンパニーヴァージニア・ウルフなんかこわくない?』(シアターコクーン)
劇団民藝『喜劇の殿さん』(三越劇場)

■男優賞(50音順)
大滝秀治(劇団民藝『審判―神と人とのあいだ 第一部―』『喜劇の殿さん』)
尾上菊之助(歌舞伎座『神霊矢口渡』)
草なぎ剛(シス・カンパニー父帰る』『屋上の狂人』)
段田安則(シス・カンパニーヴァージニア・ウルフなんかこわくない?』、Bunkamura『タンゴ・冬の終わりに』)
中村吉右衛門(国立劇場『元禄忠臣蔵 第一部』)

■女優賞(50音順)
秋山菜津子(Bunkamura『タンゴ・冬の終わりに』)
麻実れい(TPT『黒蜥蜴』)
草笛光子(CATプロデュース『6週間のダンスレッスン』)
島田歌穂(東宝ベガーズ・オペラ』、地人会『飢餓海峡』)
寺島しのぶ(二兎社『書く女』)

■演出家賞(50音順)
・ 鵜山仁(こまつ座『紙屋町さくらホテル』、文学座『ゆれる車の音』)
河原雅彦(シス・カンパニー父帰る』『屋上の狂人』)
串田和美(コクーン歌舞伎東海道四谷怪談 北番』)
千葉哲也(TPT『スラブ・ボーイズ』)
長塚圭史(パルコ『ウィー・トーマス』)

■スタッフ賞(50音順)
・ 小川幾男(シス・カンパニーヴァージニア・ウルフなんかこわくない?』、NODA・MAP『ロープ』の照明)
・ 奥村泰彦(北九州芸術劇場ホリプロ『錦鯉』、劇団M.O.P.『ズビズビ』の美術)
・ 小峰リリー(CATプロデュース『フロッグとトード』、ホリプロオレステス』、Bunkamura『タンゴ・冬の終わりに』の衣裳)
・ 二村周作(TPT『血の婚礼』、新国立劇場『アジアの女』、Bunkamura『白野』の美術)
・ 山口ひで也(東宝ベガーズ・オペラ』の音楽監督・指揮、ミュージカル座『スウィングボーイズ』の作曲・編曲・音楽監督)

http://www.theaterguide.co.jp/news/2007/01/22.html

杉村春子賞 草ナギ剛(「父帰る」「屋上の狂人」の演技)

◆本格派役者の大輪開く (審査評 萩尾瞳)

作品と俳優がしっくり溶け合って、とびきりの化学反応が起きる舞台がある。俳優・草ナギ剛と菊池寛戯曲『父帰る』『屋上の狂人』は、そんな幸福な出合いだった。なにより、草ナギ剛は、この2作品で俳優としての奥行き、優れた資質を存分に花開かせてみせたのだ。
父帰る』では、20年ぶりに帰った放蕩(ほうとう)者の父を許せない長男の矜持(きょうじ)と心中に潜む情愛に葛藤(かっとう)する賢一郎を演じ、誠実で物静かなたたずまいに内在する情と揺らぎを、見事に体現した。そこには、背筋美しい明治男が確かに存在していたのだ。
『屋上の狂人』では、日がな屋根の上で自分にしか見えない天人や天狗(てんぐ)とたわむれる義太郎を、ひょうひょうと清々(すがすが)しく演じた。この清々しさゆえに、幕切れの幸福感が柔らかに広がったのだった。
2作品の異なるキャラクターを自在に行き来したように、草ナギ剛は静と動、柔と剛、磊落(らいらく)と繊細、冷静と激情といった二律背反を軽やかに跳梁(ちょうりょう)する俳優なのだ。すでに『蒲田行進曲』(1999、2000年)のヤス役でも片鱗(へんりん)はうかがわせていたが、菊池寛戯曲との出合いでその資質はより顕在化した。新人というにはキャリア十分だけれど、本格派の役者として咲きたての大輪の花という印象なのである。

草ナギ剛の話「舞台の仕事で初めて賞をちょうだいすることが出来、大変光栄に思います。5年ぶりの舞台で緊張でいっぱいでしたが、本当に楽しかったです。」


新人賞的位置づけの杉村春子賞。おめでとう!SMAP十年やってきて新人賞ってのもすごいよね、ふふふ。たくさんお酒飲んでお祝いしちゃえ。ヴァージニアの大賞にもすごーく納得。

うちの過去の感想はこちら、