チエちゃんと私/よしもとばなな

チエちゃんと私

チエちゃんと私

相変わらず恋の始まり(出会い)とかはやばいくらいぶっ飛んでいらっしゃるんですけど(笑)。ばななさんの書く作品の主人公はどんどんと強く、ひとりよがりに(いい意味でも悪い意味でも)、ゆるぎないものになっていくなあ。完成された「自分」というものが、「自分」の考えが、これでもかというくらいに表現されている。今の世の中、こういう硬い自分を支えていくか、もしくはぐにゃぐにゃに柔らかい自分を許していくか、そうでもしないとやってらんないのかもしれない。私はそこまでつよくなれないよー。
ああでも、カオリにとってのチエちゃんほどではないけど、私にもそういう感覚になる相手は居て、そこは凄く共感した。たぶん誰にも一人は居るんじゃないかなあ。愛想もなくかわいくもなく気遣いができるわけでもなく趣味も性格もまるで一緒じゃない、なのになぜか好きで好きで、会うだけでほっとする、居てくれるだけでうれしい、そういうともだち。思い出して懐かしくなってしまい、今度GWに会うことにしました。久しぶりだあ。

毎回違う波だというふうに思えることのほうが、似た波を分類するよりも大事なの。天気の分析は欠かせないものだし、するべきなんだけれど、同じような天気と波があると思ってしまうのはとても傲慢なことで、同じようなものがあるとしたら、それは自分の内面の方であって、世界のほうではないの。(略)広すぎてこわいから、人間はいつでも固定させて、安心しようとするの。知ってることの中に。