吸血鬼と愉快な仲間たち/木原音瀬

吸血鬼と愉快な仲間たち (Holly NOVELS)

吸血鬼と愉快な仲間たち (Holly NOVELS)

あれ?BLは……?っていうくらいそういう要素がうっっっっすう〜〜い物語でした。何系になるんだろう?吸血鬼もの、っていうのともまた違うんだよなあ。これは木原さんたぶん、「切り刻まれる蝙蝠」の描写を描きたかったんじゃ?と思わせる書きっぷり。しかもそのずたぼろの内臓出てる状態で人間に戻りやがるし!そうするとグロ小説?(笑)それはそれでエンバーマー(死体修復師)が出てくるのもかなり納得だ。

本を見ながらアルは『ギャッ、ギャッ、ギャッ、ギャッ』と鳴いた。緩急をつけてリズムよく。
「何か、やたらギャアギャア鳴きはじめたんだけど、どうしたの?」
「発音を練習しているんだ」
一ページ読み終えたので、一枚捲る。けれど体が小さいのでなかなか上手くいかない。しっかり押さえ込もうと本の中央ににじり寄ると、本が閉じて間に挟まってしまった。ジタバタしていると見かねたのか、忽滑谷がページを開いて押さえてくれた。
「暁、本ぐらい開いてやれよ。体も小さいし、大変そうじゃないか」
「いくら蝙蝠でも、甘やかすとろくなことにならん」
「そういう問題じゃなくてさ」

帯の「アル!頑張れ〜!」というのにまったく同意でした。吸血鬼になってからいいことなんかひとつもない!うわーん!なアルの可愛いかわいそらしさの描写に同情。カタコトの外国人さんに萌えな人にもいいと思います。なんだかんだで普通に面白かったの。続くらしいので、次はラブ方面というよりも、暁のエンバーマーぶりとかその過去・人物背景とか、刑事・忽滑谷(ぬかりや)との友人関係とか、そういった方向を掘り下げてくれることをむしろ期待。