COLDシリーズ2冊目/木原音瀬

COLD LIGHT (ビーボーイノベルズ)

COLD LIGHT (ビーボーイノベルズ)

1作目「COLD SLEEP」(http://d.hatena.ne.jp/noraneko244/20070510#1178805432)の続き。まずは藤島の側から見た、過去の話・二人の出会いが明かされます。藤島家ひどい。近くにいる大人の余波を受けて、子どもたちが歪んでいってしまうのが哀しすぎる。藤島も確かに被害者で、だけどやっぱり子どもだった透に手を出したのはよくなくて、他に誰もいなくて方法も知らなくて……。弱いものが、より弱いものを刺す。なんて構図だろうか。自分を認めてくれる存在っていうのは、だれにでも必要なんだなあ。そして一緒に住んでいる現在。藤島はずるいとこもあるけどちゃんと自分を抑えて抑えて、透の記憶が戻ったときに訪れる悲劇を予想しながらもどうしても諦められず受け入れてしまった形なので、他の木原作品の登場人物に比べればぜんぜん許せる。いけないと知りつつどうしようもなくて、本当の気持ちを泣きながら吐露したシーンは感動的でした。

「何か、言えば」
 右の足首を掴まれた。そこから伝わってくる体温に、体が震える。
「…君といると、苦しい」
 ぽつりと呟いた。
「…君がいなくても苦しい」