ブレックファーストクラブシリーズ/高井戸あけみ

ブレックファースト・クラブ (花音コミックス)

ブレックファースト・クラブ (花音コミックス)

1冊目はごくふつーの寮ものBLっぽい。2年生の松本×飯塚@107号室。松本の性格が好きです。このシリーズってもっと古いのかと思ったら、1冊目は2002年1月、4冊目は2003年9月、でけっこう最近なんですね?それとも復刻?



ルームメイト (花音コミックス)

ルームメイト (花音コミックス)

2冊目からは3年生の犬山×三木@201号室に主役が交代。お調子者の食えないゲイ×キリキリこわめの美形生徒会長。うおおだんだん面白くなってきたー!犬山はかわいこちゃん先生とデキてたり、寮生にもセクハラざんまいだったりしたんだけど、ほんとは三木のことがずっと好きだったわけなんですよ。んで、だからこそこっちの世界に引きずり込んじゃダメだって耐えてるんですよ!その様子がまたおとなだったりして、でも我慢できずに山小屋で(お約束!)襲っちゃったりもして、とにかく順次いい雰囲気で描かれていきます。暗くなりすぎず、何気ない顔を装ってルームメイトでいる、こういうシチュエーションはもうせつなくてキュンとします。
巻末に入ってる短編がぜんぶ自分のセクシュアリティをどう自覚するか自認するかってテーマのように思えるんですけど、この作家さんは普段からそういうのよく描いてらっしゃるんですかね?



ベッド・タイム (花音コミックス)

ベッド・タイム (花音コミックス)

3冊目。うわあ深い…それに表現がうまい…。友達でいたい、相手のためにはできれば手を引いてやりたい、だけど好きなんだ、そういう葛藤があの犬山にあったってことにキュンとします。いい友達だったんだろうなあ初めは。そんでそれを知りつつ、受け止めるか、自分の気持ちはどうなのか、真面目に考える三木が男前で。そりゃノンケだったら、友達としては犬山のこと好きなんだろうし認めてるし、悩むよな。やっぱり受はこう男前でなくてはいけません!

「おまえ… 俺に嘘は言わない おまえの唯一の長所だ
でも今は誤魔化されてる気がする
この感じは… すごく不快だ」
「できると思ってたんだよ ずっと友達でもやっていけるって」
「…何 言ってる…」
「だからダメなんだよ 俺のは全然 もう友情じゃねェ」
(中略)
「いいだろ 俺の人生だ 俺のことは 俺が決めるんだ」
「俺のこともおまえが決めてるぞ
────勝手に人のこと 切り捨てんじゃねェよ」

なくしたくないものが欲しいものか どのくらい欲しいものか
どんなふうに必要かわからないから
おまえは 俺を抱けよ─────


ピロー・トーク (花音コミックス)

ピロー・トーク (花音コミックス)

あー最後どきどきしたっ。どこがピロートークよ?笑 まあ確かにヤるこたヤってますが最後まではらはら。でもよかったワアv なんかさあ、犬山が報われてほっとした。あの子がいいおとこだから、ちゃんとそのいいとこが(友達期間に)三木に伝わって理解されてたから、一緒にいられるようになったんだっていうのが。三年狭い寮部屋でのらりくらりと我慢したのが無駄じゃないってことですよ。しかし最後の最後まで犬山は往生際が悪かった・笑。まあ、それまで自分が辛酸を舐めてきたからこそ、好きなヤツにその思いをさせたくないってのが強かったんだろうけど。ゲイのほうが知ってるだけにそういう不安は濃いんだろうな。直球じゃなくどこまでも優しすぎるって人物像が染みた…けどこのままのらりくらりと一生を過ごすんではなくて、三木みたいのにちゃんと捕まえてもらえて良かったね!と思った。うん。告白しあって、これでめでたしめでたし、っていう終わりじゃないってところもいい。性格も何もかも全然違うっぽく見える二人なのに、素直にお似合いだと思える。そんで、ともだちな部分も残ってる。理想的です。できれば犬山が三木に惚れたきっかけも読みたかったナー。あ、1冊目で主役だった松本もいいアクセントというか相談役というかになっててずいぶん和みました。
この作品のテーマ。マイノリティとして社会に出たあとのことまで見越して付き合いを考えると。こういう、ナイーブなところってあるんだと思う。三木も実際は自分が当事者になってみないとほんとのほんとに追い込まれない部分もあるんだと思う。だからきっとこの先もスムーズにはいかない、かもしれない。でも悩むのは、それだけ大切で真剣で、生きてくことに関わってるってことだ。だから私はどんな苦痛も消えればいいなんて思わない。どうか彼らをちくりと刺す棘がなるべく少なく、和らぎますように。二人で生きて、二人で答えを探し続けてくれるといいなー。
しをんさんがお勧めする寮モノ代表(http://d.hatena.ne.jp/noraneko244/20070403#1175619787)なだけのことはありました!ルームメイトとしての3年間があったからこそのこの話し。タイトルの変遷も見事です。すてきな佳作だと思います。

「何かあった時 俺を救えないとか思ってんなら大きなお世話だ
自分のことは自分で始末できる
誰だって隠し事や悩みはあんだよ
おまえの----- 俺たちの場合コレなだけで 普通だ」
「…『俺たち』」
「喋るなっ もうおまえの言うことはタリい 全部却下だ
俺が大事だって言うんなら 俺の言う通りにしろ」

ドアトゥドア (花音コミックス)  あっもしかしてもう1冊あるの?