59番目のプロポーズ/アルテイシア ★★★☆

59番目のプロポーズ キャリアとオタクの恋

59番目のプロポーズ キャリアとオタクの恋

元広告代理店のキャリアウーマン、29歳。過去に告白されたオトコ、58人。モテる。地位も名誉も金もある。でも、仮面の下の素顔は……!?
ある晩、バーで鳴った彼女の着メロ。「間違いない!メールだ」(by アムロ)。「……アムロか?」そう言って振り返ったのは、モテない病をこじらせたヘビー級のオタク青年。彼(=59番)は、過去のどんなタイプの男とも違っていた。 次に会ったとき、恋人になってくれと迫る「59番」。
「こいつはストーカーになるかもしれない。……でも、こんなひたむきな真っ直ぐな情熱を向けられて、このまま追い返すなんて、女じゃない。というよりそれは、29年間生きてきた私の辞書にない」。
純粋培養の「非モテ」オタク思考、さらにはキャリアや収入の格差。さまざまなギャップを乗り越え、仮面を脱ぎ捨て、ガンダムオタク、セックス依存、恋愛のトラウマ、鬱といった素の自分をさらけ出しながら、やがてふたりは安らぎと愛情をあたえあうパートナーへ……。「大切なのはわかり合えるかじゃない。絶対に離れないことだ。つながってることだ」 。
「モテ」から「愛」へ――ひとりの女性の癒しと成長の物語。

少し前に、mixiの日記で綴られてて話題になったモテ系キャリア女子×非モテ格闘オタクの恋愛模様を本にしたもの。ちなみに紀香と陣内でドラマ化されて二人を出会わせた原作でもある。これが意外と面白かったです。アルテイシアは過去に一番好きだった男が隠れガンヲタだったのをきっかけにがんだむを見るようになって大ファン、他にもアニメやらテレビやら漫画やら好きなようで。対する59番は、非モテで自分に自信がなかったのをグレイシー柔術にのめり込むことで人生救われてきたという分野限定オタク(他に昆虫とか漫画とか・萌えヲタではないらしい・しかもマッチョ)。語り口は多少鼻につく部分はあるけど、それでも、キャリア系女子はこういう内面を晒すのを嫌うだろうから、ここまでぶっちゃけた本は貴重だと思う。今は59番という恋人の存在に満たされたからこそ過去のこういう内容を書けるんだろうなあ。P288〜299の節分の日のくだりとか、けっこう共感した。言うのはいやなの、察してほしいの!…まあそんな超人のようなことできるはずもないし、言うんですけどね(笑)ことごとく理不尽なのはわかってるんですけど、止めらんないんですよねー。あるある。日記風だけど、ときおりバシッと決めてくる文章があって、かっこよかった。二人のオタクな掛け合いも楽しい。しかしこれもまた、ちょいヲタ気味の読者しか楽しめないんだろうなあ。あと、男はこれ読んでどう思うんだろ?笑 続も出ていて、お二人は結婚したみたいです。おしあわせにー。

Tは「やりたい」というキッカケで私と付き合って、セックスして、振った。
アルテイシアは「淋しい」というキッカケで誰かとセックスして、付き合いかけて、振った。

動機は違っても、結果は同じなんじゃないの?
こちらの都合でセックスして、相手の心を傷つけたなら、罪は同じだ。

「Tなんて最低だ」と思った。
でもアルテイシアだって最低だ。
「男なんてやりたいだけだ」と思った。
でも、女だって似たようなことをしているんだ。