明日の記憶@テレビ放映

明日の記憶 [DVD]

明日の記憶 [DVD]

原作「明日の記憶」を読まなきゃ読まなきゃと思いつつ、映画を先に観てしまった。しかもながら観だったんだけど。渡辺謙だったからかろうじて見られた(かっこいいからね)という、それくらい辛い重いテーマのお話し。これがもし温水さん主演だったりしたら、きっと哀れさばかりが先立ってリアル過ぎてまともに見られなかったと思う。とわいえ渡辺謙の演技もさすがで、病気のせいで奥さんを傷つけて「あああああああ!」と暴れるとこのやるせなさも凄かったし、樋口可奈子の抑えた演技もたまらなかった。イライラする旦那さんをね「よしよし」「いいのいいの」と子どもに接するように慰めるの。そして取引先役の香川さんもまたしてもいい演技。奥さんと友人の渡辺えり子のシーンも良かったなあ。無駄がない構成。
最後はもうボロ泣きでした。そんな、そんなさいごって……!そのラストを迎えてようやく、あの大切な湯呑み(?)を抱えて身を震わせていた場面の意味や、自分からグループホームに行ってそこの人と会話を交わした意味が見えてきて、終わってしばらくしてからも呆然としてしまった。忘れてしまった旦那さんを、そのあとでケアホームに預けるとしたらきっとあの言葉が後押ししてくれて、奥さんの罪悪感を少しだけでも救ってくれる。…ちゃんと初めから観ればよかった。あんなことが、誰の身にも起こる可能性を秘めながら私たちはなんとか生きてきてるのか。

広告代理店に勤める佐伯雅行は、今年50歳になる。ありふれてはいるが穏やかな幸せに満ちていた。そんな彼を突然襲う〈若年性アルツハイマー病〉。
「どうして俺がこんな目に……なんで、俺なんだ!!」。こぼれ落ちる記憶を必死に繋ぎ止めようとあらゆる事柄をメモに取り、闘い始める佐伯。毎日会社で会う仕事仲間の顔が、通い慣れた取引先の場所が……思い出せない……知っているはずの街が、突然”見知らぬ風景“に変わっていく。夫を懸命に受け止め、慈しみ、いたわる妻。彼女は共に病と闘い、来るべき時が来るまで彼の妻であり続けようと心に決める。
「お前は平気なのか?俺が俺じゃなくなってしまっても」。一緒に積み重ねてきた人生をいつか忘れてしまうのだ。ひりつく想いでそう訊く夫に、彼女は静かに答える。
「私がいます。私が、ずっと、そばにいます。」
そして、幾度もの夏が訪れる……。〈記憶〉を喪失しても、なお忘れなかったものが、いつも美しい夕映えの空気に映えていた。
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あー「舞妓はああん」と「さいどかーに犬」と「アヒルと鴨」を観にいかなきゃ……!しかしあとのふたつはおそろしく上映館が少ないな!