ぼくと1ルピーの神様

ぼくと1ルピーの神様

ぼくと1ルピーの神様

学校にも通わなかった。本も読まなかった。でも確かに、ぼくは「答え」を知っていた。
クイズ番組でみごと全問正解し、史上最高額の賞金を勝ちとった少年ラム・ムハンマド・トーマス。警察は、孤児で教養のない少年が難問に答えられるはずがないと、インチキの容疑で逮捕する。しかし、奇蹟には理由があった―。
殺人、強奪、幼児虐待…ずっと孤独に生きてきた少年が、インドの貧しい生活の中で死と隣あわせになって目にしてきたもの。それは、偶然にもクイズの答えでもあり、他に選びようのなかった、たった一つの人生の答え。幸運を呼ぶ1枚のコインだけを頼りにしてきた孤児の、残酷だけれど優しさに満ちた物語。

終わりのほう、面白かったです。親に捨てられ、お金も学歴も何もなくて、だけど波乱万丈な人生を勉学とは別の賢さ、機転と要領の良さを駆使して渡ってきた少年の成功譚。ミリオネア式クイズの、一問ごとに「なぜその問題に答えられたか」の元になっている体験が語られていく。変に落ち込んだり自分を卑下したりすることのない主人公が淡々と日々を生きる、だけど友達や人とのかかわりを大事にしていて好感度大でした。★★☆