サイドカーに犬@渋谷アミューズCQN

良かったけど、地味だったなあ…笑。小学校低学年の女子の心情や行動をよーく表わしている映画。お母さんが家出して、お父さんはヤクザな仕事を始めて、お父さんの愛人らしきヨーコさんがごはんをつくりにくる。そのうち懐くようになって、ずっと家にいるようになって、だけど大人の都合だけで薫(主人公ね)の生活はがらりと変わる。それでも薫は、声高に何を主張するでもなく、じっと大人たちを見て、生きてきたのだ。最後の、「私も毎日乗ってるよ」という独白にぐっときたー。そうだよ、おんなのこはたくましく生きてかなきゃいけないんだ!
薫役の松本花奈ちゃんはほどよくかわゆく、ヨーコさん役の竹内結子ちゃんは勝気な女が強がっててもじんわり泣き出しちゃう演技がさすがでした。

「薫はどっちがいい?飼い主になって犬を飼うか、犬になって飼われるか」
「?」
「つまりね、偉くなって人を使うか、誰かに従って言うことをきくか」
「…わかんない」

このシーン(うろ覚えごめん)で出てくる「サイドカーに犬」の例えがタイトルの由来なんだろうけど、なるほどなあと頷いた。第三の道だね。私はあれを、「おまけみたいにくっついて、だけど大事にされてて、犬自体は自由気ままな王様、たのしいんだ」とそんなふうに受け取ったよ。人によってここの解釈は色々なんだろーな。だから、薫がお父さんに「わん!わんわん!」って唯一感情を吐露したところではあまりのいじらしさにジーンときた。あれは「もっとサイドカーに乗ってたかったのに!」って抗議と、だけど子どもの自分にはどうすることもできないと知っていて「私はサイドカーの犬のように生きるんだ!」という決意表明だよね。
それにしても一緒に観た連れ♂の感想第一声が「いい夏休みだね〜なんか思い出したわ〜」だったのには噴いた。そんな映画だったかこれ?!母家出で愛人と仲良しで最後は別れだぞ?!劇中に出てきた薫の弟くんといい、ほんと男子は単純だな、とうれしくなった(笑)