最前線―東京湾臨海署安積班/今野敏 ★★★☆

最前線―東京湾臨海署安積班 (ハルキ文庫)

最前線―東京湾臨海署安積班 (ハルキ文庫)

で、ちょうどタイミングよく会社の人が貸してくれた今野さんの警察小説「安積班シリーズ」。本庁とか所轄とかベイエリア分署とか出てきて、ちょwまるきり踊る〜やんwとか思って読んでたら、実は踊るドラマが始まるより10年前から続いてるシリーズなんだそうで。ははあ。総勢5名という小さな強行犯係を中心に描かれる非常ーに地味な捜査小説。今野作品初めてだったんだけど冷静でいいねー。
まんまとあづみん(警部補の安積さん…40歳半ば)に萌えでした。信念があって、人望も厚く、なのに部下のこととか諸々でけっこう思い悩んでる姿にキュンときた・笑。安積がなぜか気にかけまくるナンバー2の村雨部長刑事との関係がいちばん気になるかな(っていうか萌える)。あとは同期で交通機動隊の速水はいかにもかっこいい。安積が「冷たくしすぎちゃったかなー謝ったほうがいいかなー(※こんな口調ではありません)」とか悩んだ挙句やっぱり速水を訪ねるシーンでは一体何がどうしちゃったのかと思ったよー。そして何気に池谷管理官も調子よくていい感じだったり。
普段自分では手を伸ばさない分野の本だったけど、なかなか面白かったです。短編集なので、登場人物の位置関係に新たな進展がなく深まらないのが物足りないといえば物足りない。クールな豹豹と言われまくってる(というよりそれ以上の描写がない)安積班の黒木とか人物像がわかんないよー。というわけで今度は長編を読んでみようっと。入り込むのに時間がいったので、今回で好きなのは後半の「最前線」と「夕映え」かな。

「係長、須田と組んでいたんでしょう? もし須田が出世したときのことを考えてみてくださいよ。もし、あいつが係長の階級を抜いたら、どんなことになるか……」
 須田は、困り果てるに違いない。
(中略)
「進んで会おうとはしませんけどね」
 村雨は言った。「でも、もし桜井が俺より出世したら、俺は誇りに思いますよ」
 安積は、村雨から眼をそらし、うなずいた。村雨の言葉が妙にうれしかった。それを村雨に気づかれたくなかったのだ。